著者
中村 亜希子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:02873850)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.71-108, 2006-03-31

小稿は中国黒龍江省寧安県に位置する渤海の上京龍泉府址から出土した軒丸瓦を文様によって編年し,それを製作技法の観察から裏づけしたものである。渤海国は自国書を持たないため,その歴史を考えるにあたっては遺跡からの出土遺物の検討が非常に重要な位置を占めている。従来,中国や日本,北朝鮮等の研究者が軒丸瓦の文様の分類や編年などの研究を行っており,近年は特に日本において東京大学考古学研究室所蔵の遺物を対象資料とした研究が盛んに行われている。しかし,従来の研究は主に文様によるもののみであることから,製作技法との対応関係を明確にし,さらに九瓦や平瓦との対応関係を明らかにしていく必要性を感じている。本稿ではまずその研究の基本をなす編年を提示し,今後,上京龍泉府址での出土地点による比較や他遺跡の出土品との比較を通して渤海国の歴史を明らかにしていきたい。

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