- 著者
-
冨永 茂人
岩掘 修一
- 出版者
- 鹿児島大学
- 雑誌
- 鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, pp.1-10, 1992-03-30
ポンカンの果実発育の各過程にエチクロゼートを散布し, 各時期の果実の大きさと摘果効果との関係, 及び各時期のエチクロゼート散布と果実品質との関係について調査した.1.エチクロゼートを満開後35〜40日に散布した場合, 無散布樹の落果が大きいために, 摘果効果が明らかでなく, 果実横径による摘果効果の差異も認められなかった.2.エチクロゼートを満開後47〜55日に散布した場合, 葉果比からみた摘果効果が極めて大きく, 摘果過剰になった.この時期の果実横径別に摘果効果をみると, 無散布樹に比べて横径が大きい果実で摘果効果が大きく, 横径が小さい果実では摘果効果がそれほど大きくなかった.3.エチクロゼートを満開後70日に散布すると, 摘果効果は中程度で, 葉果比からみた摘果効果は適当であった.この時期の散布では果実横径の小さい果実の落果が多く, 横径の大きい果実の落果は少なかった.4.エチクロゼートの時期別散布が果実品質に及ぼす影響をみると, 満開後35〜55日の散布では果実の肥大は促進されたが, 果実品質が低下する傾向にあった.一方, 満開後70日の散布では着色が促進された.5.ポンカンに摘果剤としてエチクロゼートを散布する場合, 満開後70日前後が良く, この時期の散布は熟期促進用散布の第1回目の散布と兼ねることができるものと考えられた.