著者
小野 知洋 高木 百合香
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.325-330, 2006-11-25
被引用文献数
12

オカダンゴムシは交替性転向反応を示すことが知られている.この反応の機構として,左右の脚にかかる負荷を均等にするというBALM仮説が知られている.しかし,直線歩行路とジグザグ歩行路を歩かせると,直線歩行路においてより早く方向転換や脱出が見られることから,生得的な行動パターンとして存在することを示していると思われた.一方,走触性にもとづく歩行においては,壁面からの離脱はいつでもできる状況でありながら,かなり壁面に沿った歩行を行うことが示された.このような行動パターンの適応的な意味について,T字路が連続する歩行路を用いて,自発的歩行と逃避的歩行で比較したところ,逃避的な歩行において,交替性転向反応を示す比率が高いことがわかった.また,逃避的歩行の場合には歩行速度が迷いことがわかった.これらの事実から,交替性転向反応は天敵などからの逃避の際に有効な行動であることが示唆された.

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