- 著者
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梅宮 弘道
- 出版者
- 独立行政法人防災科学技術研究所
- 雑誌
- 雪氷防災研究発表会報文集
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.19-25, 2001-12-07
雪国の雪の始末は手ごわい。雪を融かすことができれば一番良い方法ではあるが、その熱量は膨大である。他方、雪国の夏は、格別に暑い。夏の暑さを冬に回し、冬の雪を夏に使うことはできないか?地下水実験を重ねている間に偶然、発見したのが地下に熱を蓄える「帯水層蓄熱法」である。夏、注入した熱のうち、どれだけ冬に利用することができるか実験を繰り返した結果、熱回収率60%を実証した。以来、20年。産・学・官の力を合わせ、融雪熱源として実用化する努力を続けて来た。その間、社会情勢も環境問題からクリーンエネルギーの活用と、老齢化現象から、冬期交通網のバリアフリーが要求される時代へと変わりつつある。「帯水層蓄熱式融雪システム」の特徴をまとめると次のようになる。1.冬でも自由に歩き回れる街を作ることができる。2.自然エネルギーを活用することにより、環境を損なわないシステムである。3.地下水を汚さず、消費しない融雪システムである。4.暖房・冷房・融雪と、多段階利用を導入する事により設備の稼働率を上げ、運転経費を削減する事ができる。