著者
松本 雅道 田金 秀一郎
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.355-360, 2006-11-30
参考文献数
44

絶滅危惧植物であるキスミレの自生地における緑化に際して,配慮すべき点を検討するために,阿蘇山での生育環境の特性と日本における自生地の土壌型を調査した。キスミレは春植物の生活環をもち,春先に充分な光が得られる環境を要求するため,野焼きによる草地の管理は必要である。キスミレの生育環境は土壌が深く,ススキの生育の良い,多様な種組成の群落が成立する環境である。斜面崩壊の発生して3 年経過したすべり面にはキスミレは生育していないが,14 年経過したすべり面の一部には生育を始めており,崩壊地でキスミレが群生する草地が回復するにはさらに時間がかかると推定された。日本におけるキスミレの自生地の土壌型は,草原性の環境において生成した黒ボク土の分布域に遺存することが多い。崩壊によって失われた黒ボク土を再生することにより,ススキ草原を再生することが,緑化に際して配慮すべき点と考えられる。

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編集者: Alpsdake
2021-07-13 19:38:57 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。
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