- 著者
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阿部 誠文
- 出版者
- 九州女子大学・九州女子短期大学
- 雑誌
- 九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.29-43, 1997-09
旧ソ連抑留俳句のうち、欧露に抑留された高木一郎と桜井江夢の秀句・佳句を選び、解釈・鑑賞を交えながら分析し、俘虜の生活と心情を明らかにした。俘虜という絶望的な状況にありながら、祖国・故郷に帰るということに一縷の望みを託し、故郷を思いながら、それを心の支えとして前向きに生きたのであった。「誰か故郷を」という題も、そうした俘虜の心情を代弁したものである。まだ、俳句史のなかで位置づけられていない俘虜の俳句の、その文学的再検討をうながしたい。