著者
阿部 誠文
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.79-94, 1999-02

小稿は、旧ソ連抑留俳句のうち、第一方面軍軍医部長であり、細菌戦準備にかかわったとして矯正労働二五年の刑を受けた川島炬士と満州国交通部次長であった田倉八郎の俳句を取りあげる。両者の共通しているのは、要人・高官という身分の高さであり、高齢であったことである。抑留生活も身分によって、その待遇がことなり、収容所の環境や食事、労働の程度も違っていた。前稿「行方なき非道の旅路-旧ソ連俳句=船水以南・佐久間木耳郎」と比べれば、いっそうはっきりする。要人・高官・高齢者の抑留生活は、一般兵士や民間人の抑留生活と比べれば、俘虜の日溜まりのようにゆるやかであった。そのことを明らかにして、旧ソ連抑留俳句の一面を明らかにしたい。
著者
阿部 誠文
出版者
本阿弥書店
雑誌
俳壇
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.198-203, 2017-09
著者
阿部 誠文
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.29-43, 1997-09

旧ソ連抑留俳句のうち、欧露に抑留された高木一郎と桜井江夢の秀句・佳句を選び、解釈・鑑賞を交えながら分析し、俘虜の生活と心情を明らかにした。俘虜という絶望的な状況にありながら、祖国・故郷に帰るということに一縷の望みを託し、故郷を思いながら、それを心の支えとして前向きに生きたのであった。「誰か故郷を」という題も、そうした俘虜の心情を代弁したものである。まだ、俳句史のなかで位置づけられていない俘虜の俳句の、その文学的再検討をうながしたい。