著者
ISHIBASHI Keitaro
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学盛岡短期大学部研究論集 (ISSN:13489720)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.19-24, 2006-03

トマス・ドゥルー作『サフォーク公爵夫人の生涯』(1623-1624)に関する批評は多くない。その批評史は、アーヴィング・リブナーのものを要約するだけで十分である。リブナーによれば、本劇はカトリックの主教を批判するだけのエピソード主体のメロドラマで、1620年代のものとしては「アナクロニスティック」な伝記劇にすぎない。それにしても、なぜ劇作家は、そのような流行遅れの伝記劇を再現したのだろうか。この疑問に答えるために、イングランド国王ジェイムズ一世の義理の息子で、大陸のプロテスタント主義の指導者として期待されたパラタイン選挙候フレデリック五世とみなされている、劇中のポーランド国王パラタインに着目したい。この人物に注意を払うのなら、当時のイングランドが抱えていた政治的状況が明らかになる。すなわち、カトリック主義の女王メアリの権威に公然と反対するパラタインの挑戦的な姿勢には、ジェイムズのスペイン融和政策に反対し、武力でカトリック勢力を根絶しようとする、イングランドの好戦的なプロテスタント主義者の政治的主張が映し出されているのである。

言及状況

Twitter (1 users, 2 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? The Militant Protestantism in Thomas Drue's The Life of the Duchess of Suffolk(ISHIBASHI Keitaro),2006 … https://t.co/myTp3j9PO6
こんな論文どうですか? The Militant Protestantism in Thomas Drue's The Life of the Duchess of Suffolk(ISHIBASHI Keitaro),2006 … http://t.co/myTp3jrZ2e

収集済み URL リスト