- 著者
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新谷 周平
- 出版者
- 一般社団法人日本教育学会
- 雑誌
- 教育學研究 (ISSN:03873161)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.4, pp.470-481, 2006-12-29
本稿の目的は、フリーター・ニートの批判言説および選択の意味解釈を通じて、教育学研究、政策・実践の課題を明らかにすることにある。ニート批判は、社会の不安を抑え込む差異化欲求の表れと解釈することができるが、それを根底から変革するよりは、政策・実践へと転換されるプロセスに影響を与えることの方が現実的でありまた必要である。ニート選択は、確かに客観的には構造要因の影響が大きいが、消費文化への接触や労働の拒否を通じた社会への抵抗という実存レベルの解釈が可能であり、その先に道具的・経済的利益に接続する方策が求められる。キャリア教育政策や機会平等論から導かれる政策は、計画性や上昇移動を基準とする単一の生き方・働き方のモデルを設定するが、それは過剰な同化とあきらめを介した格差拡大を生じさせる可能性が高い。それとは異なる生き方・働き方のモデルを設定し、そのために必要なスキル・認識枠組みを政策・実践に取り入れる必要がある。