- 著者
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土岐 留美江
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.4, pp.16-31, 2005-10
平安時代の和文資料における会話文をもとに終止形終止、連体形終止、ナム・ゾ共起係り結びの三者を比較分析した結果、以下のような連体形終止の特徴が見出された。1.動詞文では感情・思考・知覚動詞が多く、具体性のある現在時の事柄や話者の評価・解説を述べる場合に多い。2.形容詞文では属性的形容詞は見られず、情緒的形容詞に偏る。3.助動詞文では(1)感情・思考(2)過去・完了(3)推量(4)否定(5)断定の順に多い。これらの諸特徴から、連体形終止文の表現性の本質は発話者に情報の絶対的優位性があることを示すものであるという結論に至った。