著者
竹村 一夫
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.179-189, 2007-01-31

母子家庭を対象とした福祉施策は,「きめ細かな福祉サービスの展開」と「自立・就労の支援」を中心とした施策に転換された。その背景としては,高齢社会化にともなう社会保障費の増大と政策における思想的な背景としての新自由主義,市場主義の影響が指摘できる。母子家庭の経済的な現状としては,国民生活基礎調査では,2003年の母子家庭の1世帯当たりの平均所得は全世帯の平均所得の半分以下しかない。シングルマザーの就業率は非常に高いが,非正規雇用者の割合は一般就労者より高く,近年進行した雇用の多様化は,就労する条件としては不利になりがちなシングルマザーにより厳しい影響を与えている。岡山市のシングルマザーを対象とした聞き取り調査からえられた課題としては,資格があっても残業や夜勤のある仕事には就きにくいこと,パソコンの練習をしたくても購入しにくいこと,転職や就業条件のことなどで相談に行きたくても行きにくいこと,養育費の確保が困難な場合が一定程度含まれると考えられることなどをあげることができ,特に相談機能の弱さを補っていくことと,母子家庭への情報提供のあり方として,情報が単にそのまま提供されるのではなく,必要な情報をその意味するところも含めていかに的確に伝えられるかが課題となるだろう。

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