- 著者
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塚越 奈美
- 出版者
- 一般社団法人日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.25-34, 2007-04-20
4歳児・5歳児・6歳児(各42名)計126名が本研究に参加した。願いごとをすると空の箱に対象物が出現する現象を見た後,部屋に1人きりになった場面での子どもの行動が観察された。現象の再現可能性を子どもが検証しようとしているかどうかに着目し,主に,仕方を変化させながら複数回願いごと行動をするかと,箱の仕組みやトリックを調べる行動を示すかどうかを中心に分析した。その結果,そのような行動のうち片方あるいは両方を示した子どもの人数の割合は,4歳児26%,5歳児64%,6歳児71%であった。特に,5歳児・6歳児では,仕方を変化させながら複数回願いごと行動のみを示した人数と,この行動と箱の仕組みやトリックを調べる行動の両方を示した人数が多かった。これらの行動の年齢差は,目の前で示された不思議な現象を単純に信じるのではなく,それがなぜ起きるのかを自分で確かめようとする姿勢の違いを反映した結果ではないかと議論された。