著者
伊藤 恵士 桐谷 佳恵 小原 康裕 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.21-26, 2007
参考文献数
13
被引用文献数
2

商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、日本酒のパッケージデザインのあり方を考察するため、まず本研究では、日本酒ラベルの現状を探った。日本酒ラベルのデザイナーのインタビューからは、1)デザイナーと蔵元との間のイメージの不一致、2)吟醸酒などのクラスを意識したデザインがされていない、3)蔵元の保守的傾向、が問題点として上がった。そして、現行の日本酒ラベル689点に加え、20年前の日本酒ラベル245点、瓶などの形状が日本酒に似た焼酎と泡盛から、それぞれ207点、113点のラベルを収集し、デザインを分析した。その結果、クラス別に差別化が行われているとは言いがたいが、多少の傾向の違いはみられた。数量化理論剛類の結果から、現行ラベルは「単純一複雑」、「調和一独立」の観点から記述できる事がわかった。そして、過去のデザインの特徴と合わせて考えると、複雑で独立的なデザインから、調和あるいは単純な方向への2つのデザイン潮流も見いだされた。

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