著者
伊藤 恵士 桐谷 佳恵 小原 康裕 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.19-26, 2007-07-31 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
1

商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、ユーザ印象を考慮した日本酒のラベルデザインのあり方を検討するための基礎資料として、日本酒のパッケージの印象評価を行った。まず、13色の瓶の印象評価及び因子分析を行い、ユーザが瓶色に対して何らかのイメージを抱く事を確認した。次に、現行ラベルデザイン14種を6色の瓶と組み合わせ、それらの印象を評価させた。その結果、熟成感、濃淡感、嗜好性の因子が抽出された。ラベル自体の熟成感には色(彩度)、濃淡感には色(色相)と用いられるグラフィックの量、嗜好性には高級感を演出する金などの色や誘目性の高いレイアウトが効果的であることがわかった。そしてラベルの印象は、それが貼られる瓶の色によって大きく変化した。特に嗜好性は、瓶とラベルに使用されている色の統一感、色相差、明度差、色数によって大きく変わった。
著者
伊藤 恵士 桐谷 佳恵 小原 康裕 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.21-26, 2007-03-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
13

商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、日本酒のパッケージデザインのあり方を考察するため、まず本研究では、日本酒ラベルの現状を探った。日本酒ラベルのデザイナーのインタビューからは、1)デザイナーと蔵元との間のイメージの不一致、2)吟醸酒などのクラスを意識したデザインがされていない、3)蔵元の保守的傾向、が問題点として上がった。そして、現行の日本酒ラベル689点に加え、20年前の日本酒ラベル245点、瓶などの形状が日本酒に似た焼酎と泡盛から、それぞれ207点、113点のラベルを収集し、デザインを分析した。その結果、クラス別に差別化が行われているとは言いがたいが、多少の傾向の違いはみられた。数量化理論剛類の結果から、現行ラベルは「単純一複雑」、「調和一独立」の観点から記述できる事がわかった。そして、過去のデザインの特徴と合わせて考えると、複雑で独立的なデザインから、調和あるいは単純な方向への2つのデザイン潮流も見いだされた。
著者
井磧 伸介 宮崎 紀郎 玉垣 庸一 李 震鎬
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.71-78, 1996-05-31
参考文献数
11

近年の雑誌広告ではカラー表現が一般的であるが,モノクロ写真を取り入れた広告も少なくない。本研究は,カラー全盛とも言える現在の広告表現において,モノクロ写真を使用した雑誌広告がどのようなイメージで受け取られるのか調査を行ない,モノクロ写真を使用する効果を検討するものである。まず,収集した雑誌広告を配色や構図などで分類し,代表的な広告サンプルを選び出した。次に,これらのサンプルについてのイメージ調査を20代前半の男女70名に対してSD法によって実施した。その結果,整然性,鮮明感,重厚感の3つの因子が抽出された。このうち,「まとまった」,「静かな」等の形容詞のみならず,「好きな」,「美しい」といった形容詞とも相関の高い整然性因子では,モノクロ写真を使用した広告がカラー写真を使用した広告より高く評価され,文字や製品写真にカラーを重点的に使用すれば,さらに評価を高めることが判明した。これは,モノクロ写真とから部分との対比が,それぞれをより際立たせた結果であると推測される。
著者
金 志香 桐谷 佳恵 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.79-86, 2010-01-31
被引用文献数
1

本研究では,ウェブでのアフォーダンスを「仮想空間(ウェブ上)でのデジタル情報がユーザーに提供するもの」と定義する。アフォーダンスは,インターネットショッピングにおける消費者の情報探索の手がかりとして働き,購買行為を支える。本研究は,インターネットショッピングにおける情報探索時のアフォーダンスを把握することを目的としている。そのため,ウェブでの買い物行動実験を行ない,プロトコル分析を用いて解釈した。その結果,10項目の要因を抽出することができた。さらに,ウェブアフォーダンスを,「使用性のアフォーダンス」「情報探索のアフォーダンス」の2つに区分した。抽出した10項目のなかで「操作方法」「サイト構成」「ページ評価」の3つが,使用性のアフォーダンスに関するものであった。「商品情報提示方法」「商品属性」「商品への関心」「商品との関与」「商品の付随的条件」「商品にとの関与」「他人の評価」の7つは情報探索のアフォーダンスに関するもの,と分類することができた。
著者
遠藤 律子 宮崎 紀郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.69-78, 2007-01-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
40

書物は印刷を表現手段とするグラフィックデザインの一部であり、印刷技術に支えられ、変化し続けてきた。本研究は、日本の書物の装幀の変遷を、主として印刷、製本、製紙などの技術との関係から参照する。これにより技術が装幀に与えた影響を浮き彫りにすることから、今後の装幀、ひいてはグラフィックデザインやコミュニケーションデザインに資することを目的とする。日本の書物は、主として西洋からの技術の導入により、従来培ってきた書物のあり方から、書物の構造と概念を大きく変えられるに至った。とりわけ、諸技術の導入期である明治の初頭における書物の装幀の改革は、現在の書物のデザインに大きく影響している。本論は継続研究の第1報であり、明治期の装幀についての調査結果を論じている。その結果、明治期を大きく3期に分割することができることが判明した。また、和装本から洋装本への移行の過程、方法が解明された。
著者
李 震鎬 宮崎 紀郎 村越 愛策
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.9-16, 1994

視認性に及ぼす走行環境の影響を調べる目的で,現在使用されている道路案内標識をとりあげ,文字を中心にそれらをどのように認知しているのかを明らかにしたものである。内容は実験I.として視認性に及ぼす走行速度の影響を調べるために,走行速度を30,50,70km/hの3種類に設定し,同一地名に対する検索時間などで視認性を調べた。実験II.としては視認性に及ぼす情報量の影響を調べるために,九つの異なる情報を設定して視認性を調べた。その結果,I.走行速度は50km/h,30km/h,70km/hの順に視認性に対して優劣関係にあることが明かとなった。II.情報量から見た場合の視認性は,文字の複雑さの要因が大きくて,画数の少ない,簡単なものから読み始める傾向が顕著である。また,視認したという判断については,漢字のみの構成ならば画数にしたがっているが,カナや数字が入ってくると,それらが視認されてから他の文字をはっきり視認しなくても推測が働き,漢字単独の状態よりも早い段階でその情報を認知していることを確認した。
著者
井磧 伸介 宮崎 紀郎 玉垣 庸一 李 震鎬
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.71-78, 1996-05-31 (Released:2017-07-25)
参考文献数
11

近年の雑誌広告ではカラー表現が一般的であるが,モノクロ写真を取り入れた広告も少なくない。本研究は,カラー全盛とも言える現在の広告表現において,モノクロ写真を使用した雑誌広告がどのようなイメージで受け取られるのか調査を行ない,モノクロ写真を使用する効果を検討するものである。まず,収集した雑誌広告を配色や構図などで分類し,代表的な広告サンプルを選び出した。次に,これらのサンプルについてのイメージ調査を20代前半の男女70名に対してSD法によって実施した。その結果,整然性,鮮明感,重厚感の3つの因子が抽出された。このうち,「まとまった」,「静かな」等の形容詞のみならず,「好きな」,「美しい」といった形容詞とも相関の高い整然性因子では,モノクロ写真を使用した広告がカラー写真を使用した広告より高く評価され,文字や製品写真にカラーを重点的に使用すれば,さらに評価を高めることが判明した。これは,モノクロ写真とから部分との対比が,それぞれをより際立たせた結果であると推測される。
著者
玉垣 庸一 宮崎 紀郎 小原 康裕
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.9-18, 2007-09-30 (Released:2017-07-11)
参考文献数
15

よく知られた伝統的なカラーオーダーシステムの一つであるオストワルトシステムは一般に混色系として分類されている。しかし本稿では、対数変換によって明るさ尺度の等歩度性(知覚的均等性)を獲得していることからオストワルトシステムは混色系と顕色系の両側面を兼ね備えたカラーシステムであると考えた。そして、CG生まれのカラーシステムの1つであるHSVカラーモデルを混色系と見なし、オストワルトシステムとの関連性を究明した。混色系の表色値としてRGB値が測色的に定義されているとき、HSVカラーモデルのSパラメータとVパラメータがそれぞれ対数変換前の混色的なオストワルト等色相三角形における純度、鮮明度に対応することを明らかにし、色ベクトル空間に展開されたHSVカラーモデルの等色相三角形は対数変換前の混色的なオストワルト等色相三角形と構造的に一致することを示した。
著者
宮崎 紀郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.61-70, 1996-05-31
被引用文献数
3

本研究は,いわゆる新聞離れをいわれる世代に属する大学生を対象に行った新聞についての意識調査を手掛かりとして,新たな新聞紙面デザインを提案するものである。調査は,19〜25歳までの大学生103名を対象に行われた。その結果,(1)新聞は役立つ,(2)新聞を信頼している,(3)新聞は正確であるなどの,新聞を肯定的にとらえる意見が50%以上であった一方で,(4)読者の意見を反映していない,(5)公平性に欠ける,(6)面白くないなどの意見が50%近くあった。SD法による新聞のイメージ調査の結果から,(1)明朗感,(2)おうへい感,(3)信頼感の3つの因子が見いだされた。この結果と新聞閲読時間との相関をみると,1日当たりの閲読時間が多い人ほど(1)明朗感にはプラス,(2)おうへい感にはマイナス,(3)信頼感にはプラスの傾向を示すことが分かった。紙面デザインに対しては,(1)写真,イラストレーションを増やす,(2)カラーを増やすなど,ビジュアルな紙面づくりへの要望が多かった。
著者
宮崎 紀郎 玉垣 庸一 土谷 克志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.1988, no.65, pp.21-28, 1988
被引用文献数
1

本研究は,新聞紙面におけるレイアウト要素について,その与えるイメージはどのようなものか調査検討したものである。レイアウト要素としては,本文文字組み,写真,罫線を取りあげた。朝日新聞をベースとして,レイアウト要素を変えた新聞紙面8種類を作成し,調査した結果,つぎのことが判明した。1.既存の文字組みによる紙面は,比較的信頼感が高い。われわれがこれまでの研究で最適とした朝日新聞社・新N字108%拡大文字による文字組みを採用した紙面は,可読性が高く,派手であたたかく,新しい印象を与える。2.写真は,大きいほど派手であたたかく,親しめる印象を与える。3.罫線は信頼感に関係しており,罫線が存在することで力強くひきしまった印象を与える。上記の結果から,拡大文字による文字組みで,写真が大きく,罫線のある紙面レイアウトにより,より読みやすく,力強く,あたたかい,信頼できるイメージを与える紙面が実現できることが判明した。
著者
宮崎 紀郎 湊 幸衛 玉垣 庸一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.1986, no.57, pp.39-44, 1986

週刊誌中吊り広告を提案するにあたって,その制作の手がかりを得るために,週刊誌中吊り広告とその本誌を対象サンプルとして,イメージ調査を行った。調査データを因子分析した結果,サンプルに対する被験者のイメージ評価は4因子で構成されていることが判明した。この第1因子の「好感度」と第2〜4因子の「躍動感」「大衆性」「重厚感」を軸に,それぞれのサンプルの確率集中楕円を描いたところ,各サンプルのイメージ像が浮かびあがってきた。これらの調査結果を生かした,ひとつの提案として,週刊誌中吊り広告のデザインを試みた。今回の調査結果は,中吊り広告ばかりではなく,文字を主とした広告のデザインにあたっての有用な参考資料になると考える。
著者
佐久間 知里 宮崎 紀郎 玉垣 庸一 小原 康裕
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 47
巻号頁・発行日
pp.420-421, 2000-10-16 (Released:2017-11-08)

A newspaper side design is the problem which should be examinedimmediatel y. Although a report, a character, a photograph, a title, etc. are in the composition element of space, by this research, a "ruled line" is taken up and the impression which the ruled line of various patterns gives to space is considered. By narrowing down and considering a target for the ruled line which a hand tends comparatively to add, it is said that an impression improvement of space will show that it is hard never, and will obtain the key to a future newspaper design.
著者
伊藤 恵士 桐谷 佳恵 小原 康裕 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.19-26, 2007
被引用文献数
6 2

商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、ユーザ印象を考慮した日本酒のラベルデザインのあり方を検討するための基礎資料として、日本酒のパッケージの印象評価を行った。まず、13色の瓶の印象評価及び因子分析を行い、ユーザが瓶色に対して何らかのイメージを抱く事を確認した。次に、現行ラベルデザイン14種を6色の瓶と組み合わせ、それらの印象を評価させた。その結果、熟成感、濃淡感、嗜好性の因子が抽出された。ラベル自体の熟成感には色(彩度)、濃淡感には色(色相)と用いられるグラフィックの量、嗜好性には高級感を演出する金などの色や誘目性の高いレイアウトが効果的であることがわかった。そしてラベルの印象は、それが貼られる瓶の色によって大きく変化した。特に嗜好性は、瓶とラベルに使用されている色の統一感、色相差、明度差、色数によって大きく変わった。
著者
宮崎 紀郎 渡部 良 樋口 孝之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.1988, no.64, pp.37-44, 1988

本稿は,洗濯機購入者に対するアンケート調査から,その買いもの行動におけるコミュニケーション媒体の影響をみたものである。数量化理論III類を用いたアンケート結果の分析から,次のことが明らかになった。1.買いもの行動を類型化する基準の第一は「広告への接触度合い」である。ついで「洗濯に対する考え方」,「買い方の特徴」となっている。2.被験者の買いもの行動のタイプとして,(1)合理派,(2)ひいき派,(3)無関心派,(4)経済派,(5)計画派,(6)デザイン派,(7)シンプル派が認められる。3.コミュニケーション媒体の影響としては,上記(5)計画派におけるカタログと,(6)デザイン派におけるテレビCM,新聞広告などマスコミュニケーション媒体による広告の関連がとりわけ大きい。
著者
畑山 美香 宮崎 紀郎 玉垣 庸一 村越 愛策
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.31-38, 1996-07-31
参考文献数
17

本研究は,最近出された,印刷媒体における比較広告をいくつかの型に分類し,それをもとに比較広告が人々にどの様に受け止められているのかをアンケート調査したものである。その結果をもとに,日本における比較広告の現状について検討した。比較広告は,アメリカではさかんに行われている。日本では,最近いくつかの比較広告が若者に関心を呼んでいるようだが,日本人はあからさまな比較を嫌うせいか,あまり多くは見られない。果たして,比較広告は,日本人には受け入れられないものなのだろうか。そこで,我々は,15歳から65歳までの男女189名に比較広告に関するアンケートを依頼し,143名の有効回答を得た。調査の結果,以下の点が判明した。(1)比較広告は,全ての年代の人々に受け入れられている。(2)広告の中で比較の相手の名前を出さない無指名型よりも,名前を出す指名型の方が効果的である。
著者
伊藤 恵士 桐谷 佳恵 小原 康裕 玉垣 庸一 宮崎 紀郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.21-26, 2007
参考文献数
13
被引用文献数
2

商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、日本酒のパッケージデザインのあり方を考察するため、まず本研究では、日本酒ラベルの現状を探った。日本酒ラベルのデザイナーのインタビューからは、1)デザイナーと蔵元との間のイメージの不一致、2)吟醸酒などのクラスを意識したデザインがされていない、3)蔵元の保守的傾向、が問題点として上がった。そして、現行の日本酒ラベル689点に加え、20年前の日本酒ラベル245点、瓶などの形状が日本酒に似た焼酎と泡盛から、それぞれ207点、113点のラベルを収集し、デザインを分析した。その結果、クラス別に差別化が行われているとは言いがたいが、多少の傾向の違いはみられた。数量化理論剛類の結果から、現行ラベルは「単純一複雑」、「調和一独立」の観点から記述できる事がわかった。そして、過去のデザインの特徴と合わせて考えると、複雑で独立的なデザインから、調和あるいは単純な方向への2つのデザイン潮流も見いだされた。