著者
佐久間 雅久 松田 和道 松本 展華 加藤 公
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【はじめに】<BR>これまで私は数名のドッジボール(以下:DB)選手の投球障害に対するリハビリテーションを経験した。DBは休み時間などに遊びとして行うものから統一ルールに基づいた競技性を兼ね備えたものまでみられ、小学生を中心に人気のあるスポーツである。しかし、競技性を備えるものになると日々の練習の中で、投げる動作と構えて受ける動作が繰り返し行われる。実際に競技用のボールの大きさ、重さをみると発達段階の小学生の身体に局所的なストレスがかかる事が推測された。そこで、小学生DB選手のスポーツ傷害の実態状況を把握する為にアンケート調査を実施した。<BR>【対象】<BR>平成18年5月の三重県DB選手権大会に参加した26チームの選手<BR>【方法】<BR>質問紙法によるアンケートで、一般情報、練習量、柔軟性、現在と過去の疼痛の有無と傷害状況について回答を得た。三重県DB協会のご協力のもと、アンケート内容を指導者に説明し、調査票の配布・回収を依頼した。<BR>【結果】<BR>アンケート回収数は247件で、男性197名、女性50名、平均身長139.3cm、平均体重30.0kg、投球側は右側222名、左側23名であった。練習前のストレッチについては全ての選手が『している』と答え、練習後のストレッチを『している』と答えた選手は40%であった。肘関節の評価で投球側の肘を曲げて指先が肩につくか?では『つく』が222名(90%)、『つかない』が25名(10%)で、肘関節の著明な屈曲制限を呈している選手がみられた。肩関節の評価で身体の背部で右手を上に、左手を下にして手と手が届くか?では『届く』が181名(73%)、『届かない』が64名(27%)であり、逆に左手を上に、右手を下にして手が届くか?では『届く』が113名(46%)、『届かない』が129名(54%)であった。現在の疼痛の有無に関しては98名(40%)の選手が疼痛を抱えながらプレーしており、過去に疼痛が出現していた選手は163名(66%)みられた。過去の疼痛部位は、指77名(30%)、肩39名(16%)、足首35名(14%)、膝29名(12%)、手首28名(11%)、肘16名(6%)、その他13名(5%)であった。過去に疼痛で病院を受診した選手では、指骨折(14名)、手首骨折(7名)、突き指(12名)と診断されていた。現在の疼痛部位は、指27名(11%)、肩21名(9%)、足首19名(8%)、膝15名(6%)、手首10名(4%)、肘6名(2%)、踵6名(2%)、その他6名(2%)であった。<BR>【考察】<BR>DB選手の疼痛について調査し、練習量やポジション別でその関連性を検討したが、統計学上5%未満の有意な結果は得られなかった。しかし、多くの選手が疼痛を抱えながらプレーし、著明な柔軟性の低下が生じている選手がいる事が判った。今後はデータの分析、検討を重ね、指導者や協会との連携を諮り、障害外傷予防に取り組んで行きたい。また、競技用のボールが小学生の身体に与える影響について検討していく必要性を感じた。

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こんな論文どうですか? 229 小学生ドッジボール選手における実態調査(骨・関節系理学療法2, 第42回日本理学療法学術大会)(佐久間 雅久ほか),2007 https://t.co/kMwIvL9bhm

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