著者
松本 光司 佐久間 雅久 島田 隆明
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【目的】 </b>我々は高校野球三重県大会においてメディカルサポートを実施しているが、その対象は一部の選手に限られる為、選手の状況を把握する為に、アンケート調査を実施し、選手の障害予防への介入方法の検討を行った。<br><b>【対象】 </b>三重県高校野球連盟に加盟の南勢地区を中心とする13校の硬式野球部の選手300名。<br><b>【方法】 </b>我々が各高校を訪問し、調査の目的、記入方法を説明し、現地にてアンケート用紙を回収した。アンケートは無記名の質問方式にて、(1)基本情報(学年、身長、体重、ポジション、野球歴、他スポーツ歴)、(2)理学療法士(以下:PT)の認知度、PTとの関わり、(3)障害(現在、過去の怪我・疼痛の有無、怪我をして受診する施設)、(4)生活習慣(練習時間、睡眠時間、ストレッチング(以下:STG)、食事・水分摂取)について調査した。また、怪我・疼痛とSTGの関係性について多変量解析(主成分分析)を用いて検討を試みた。<br><b>【結果】 </b>(1)基本情報 1)学年:1年生141名、2年生159名。2)ポジション:投手60名、捕手26名、内野手121名、外野手93名。3)野球歴:小学校から265名、中学校から35名。4)野球以外のスポーツ歴:ない138名、ある162名。<br>(2)PTの認知度およびPTとの関わり PTの知名度に関して、知る選手163名、知らない選手137名。PTと関わった事がある選手60名であった。また、PTの治療・指導に興味がある選手は182名であった。<br>(3)障害 怪我の既往歴がある選手は221名であり、野球肘83名、骨折72名、肉離れ50名、野球肩42名、腰痛19名、疲労骨折14名、腰椎分離症12名、捻挫10名、半月板損傷9名、腰椎ヘルニア9名、靱帯損傷8名、オスグッド4名、シンスプリント2名であった。<br> 現在怪我をしている選手は56名であり、野球肘15名、野球肩7名、腰椎ヘルニア・捻挫・腰椎分離症・膝痛が各4名、肉離れ3名、疲労骨折・腰痛が各2名であった。現在疼痛がある選手は165名、その内訳は腰痛61名、肘痛58名、肩痛51名、足部痛30名、手首痛16名他となった。そして、93名(56.4%)は痛みについて監督・コーチは把握していない結果となった。怪我・痛みに対して受診する施設は整骨院・整体師・鍼灸師が230名、病院が116名、PTによる治療が27名という結果であった。<br> 障害とSTGの関係について主成分分析の解析結果は、怪我によって、STGに関する認識や、実施時間が増える傾向であった。<br>(4)生活習慣 1)平均睡眠時間:5~6時間192名、7時間以上102名、3~4時間6名。2)部活動以外でのSTG実施状況:毎日実施115名、全くしない90名、週2・3日61名、週4日以上34名。3)STG実施時間:5~10分89名、10~15分57名、5分以内43名、15分以上21名。4)食事の摂取状況:主に朝食を食べない選手が多かった。5)水分摂取状況:練習中と試合中で違いがあり、試合中はスポーツドリンクを摂取している選手が多かったが、摂取量に気を付ける選手の割合は低かった。<br><b>【まとめ】 </b>今回、野球選手の障害状況と生活習慣の実態が明らかとなった。<br> 結果から、大会期間中だけでなく、三重県高校野球連盟と緻密な連携を図り、定期的なメディカルチェックやSTG講習会を実施し、選手個人の状態が把握できるような支援体制の構築が必要だと考える。
著者
佐久間 雅久 松田 和道 松本 展華 加藤 公
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【はじめに】<BR>これまで私は数名のドッジボール(以下:DB)選手の投球障害に対するリハビリテーションを経験した。DBは休み時間などに遊びとして行うものから統一ルールに基づいた競技性を兼ね備えたものまでみられ、小学生を中心に人気のあるスポーツである。しかし、競技性を備えるものになると日々の練習の中で、投げる動作と構えて受ける動作が繰り返し行われる。実際に競技用のボールの大きさ、重さをみると発達段階の小学生の身体に局所的なストレスがかかる事が推測された。そこで、小学生DB選手のスポーツ傷害の実態状況を把握する為にアンケート調査を実施した。<BR>【対象】<BR>平成18年5月の三重県DB選手権大会に参加した26チームの選手<BR>【方法】<BR>質問紙法によるアンケートで、一般情報、練習量、柔軟性、現在と過去の疼痛の有無と傷害状況について回答を得た。三重県DB協会のご協力のもと、アンケート内容を指導者に説明し、調査票の配布・回収を依頼した。<BR>【結果】<BR>アンケート回収数は247件で、男性197名、女性50名、平均身長139.3cm、平均体重30.0kg、投球側は右側222名、左側23名であった。練習前のストレッチについては全ての選手が『している』と答え、練習後のストレッチを『している』と答えた選手は40%であった。肘関節の評価で投球側の肘を曲げて指先が肩につくか?では『つく』が222名(90%)、『つかない』が25名(10%)で、肘関節の著明な屈曲制限を呈している選手がみられた。肩関節の評価で身体の背部で右手を上に、左手を下にして手と手が届くか?では『届く』が181名(73%)、『届かない』が64名(27%)であり、逆に左手を上に、右手を下にして手が届くか?では『届く』が113名(46%)、『届かない』が129名(54%)であった。現在の疼痛の有無に関しては98名(40%)の選手が疼痛を抱えながらプレーしており、過去に疼痛が出現していた選手は163名(66%)みられた。過去の疼痛部位は、指77名(30%)、肩39名(16%)、足首35名(14%)、膝29名(12%)、手首28名(11%)、肘16名(6%)、その他13名(5%)であった。過去に疼痛で病院を受診した選手では、指骨折(14名)、手首骨折(7名)、突き指(12名)と診断されていた。現在の疼痛部位は、指27名(11%)、肩21名(9%)、足首19名(8%)、膝15名(6%)、手首10名(4%)、肘6名(2%)、踵6名(2%)、その他6名(2%)であった。<BR>【考察】<BR>DB選手の疼痛について調査し、練習量やポジション別でその関連性を検討したが、統計学上5%未満の有意な結果は得られなかった。しかし、多くの選手が疼痛を抱えながらプレーし、著明な柔軟性の低下が生じている選手がいる事が判った。今後はデータの分析、検討を重ね、指導者や協会との連携を諮り、障害外傷予防に取り組んで行きたい。また、競技用のボールが小学生の身体に与える影響について検討していく必要性を感じた。