- 著者
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木口 大輔
坂根 照文
田内 秀樹
首藤 貴
吉野 一弘
片木 祐志
渡辺 好隆
門田 詩織
- 出版者
- 公益社団法人日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- vol.2006, pp.A1203, 2007
【目的】暗い色が明るい色に比べ重く感じるという重さ判断に及ぼす色の違いは様々な分野で述べられているが、報告されている先行研究は少ない。そこで、リハビリテーションで使用されている重錘バンドの色に着目し検討した。<BR><BR>【方法】参加者:2006年9月から2006年10月の間に当院に入院し、リハビリテーションを受けた患者22名とした。男性9名、女性13名、平均年齢63.8±16.0歳であった。手続き:OG技研社製1kgの重錘バンドで通常販売品のGF-115黄色と、同社製で特別注文品である濃紺色で1kgの重錘バンドを使用した。重錘バンドは長さ435mm×幅120mmであった。当院で行なわれている通常のリハビリテーションの一環として下記の実験を行なった。実験は午前10時頃から開始された。まず、参加者に現在の下肢の疲労感を尋ねた。疲労感は、「非常に疲れている」、「かなり疲れている」、「やや疲れている」、「あまり疲れていない」、「全然疲れていない」の内から1つ選択させた。次に参加者を端座位にさせ、両側下腿遠位部に重錘バンドを巻き、膝関節完全伸展位を左右の足で交互に5秒間ずつ保持させた。これを10分間行なわせた。このリハビリテーション終了直後に、下肢の疲労感をリハビリテーション開始前に行なわせたのと同じ評定用紙に回答させた。続いて、リハビリテーションで使用した重錘バンドの重さの印象を「かなり重い」、「やや重い」、「どちらともいえない」、「やや軽い」、「かなり軽い」の内から1つ選択させた。このリハビリテーションを4日間行なった。黄色と濃紺色の2種類の重錘バンドを、交互に使用した。参加者の半数については黄色の重錘バンドでリハビリテーションを始め、次の日には濃紺色の重錘バンドでリハビリテーションを行なった。残り半数の参加者は濃紺色の重錘バンドでリハビリテーションを始め、次の日には黄色の重錘バンドでリハビリテーションを行なった。<BR><BR>【結果】下肢の疲労感は、「かなり疲れている」から「全然疲れていない」の5段階尺度を、それぞれ5点から1点と得点化し、リハビリテーション開始前と終了直後の差を求め、Wilcoxonの符号付順位検定を行った。その結果、重錘バンドの色の違いの効果はp>.05で、有意ではなかった。リハビリテーション後での疲労感に色の違いは影響しなかった。重錘バンドの重さ判断は、「かなり重い」から「かなり軽い」の5段階尺度を、それぞれ5点から1点と得点化し、Wilcoxonの符号付順位検定を行った。その結果、重錘バンドの色の違いの効果はp<.05で有意であった。暗い色がより重く感じられた。<BR><BR>【考察】リハビリテーションにおける重錘バンドを利用した筋力トレーニング場面において、重錘バンドの色の違いは、下肢の疲労感には影響がないが、重さの印象に影響があった。一般的に重錘バンドは、重量別に色分けされ販売されていることが多いが、明度の高い色の使用が望ましいことが示唆された。<BR><BR>