著者
安川 修
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.620-628, 1988-04-20
被引用文献数
1

1. クエン酸リアーゼを用いた酵素法による測定で正常健康人109例,及びカルシウム結石患者231例の尿中クエン酸排泄量について検討し以下のような結果が得られた. 1)健康人男子72例,および女子37例の尿中クエン酸排泄量は383.9±156.5mg/day,および452.6±171.4mg/dayであり,女子の方が5%の危険率で有意に高値を示した.また,カルシウム結石群では男子326.2±203.6mg/day,女子374.2±219.7mg/dayであり,男子は5%の危険率で低値を示し,女子は結石再発群のみが有意な低値を示した. 2)健康人の男女の排泄量の統計学的検討により,クエン酸排泄量の正常下限値を男子200mg/day,女子250mg/dayとして低クエン酸尿症を定義したところ,結石群では男女とも約30%の低クエン酸尿症が認められた. 3)過カルシウム尿症あるいは過蓚酸尿症と低クエン酸尿症の合併は,いずれも結石群の10%前後に過ぎなかった. 4)尿中クエン酸排泄量と尿量,尿中マグネシウム,尿酸,リンおよび蓚酸排泄量の間には弱い正の相関を示す傾向が認められた. 2. カルシウム結石患者に対し,クエン酸剤を1日3gを経口投与し,尿中パラメーターの追跡検討を行ったところ尿pHと尿中クエン酸排泄量の有意な上昇の持続が観察された.また6ヵ月以上の投与症例での検討では結石再発防止効果が予想される結果が得られた.

言及状況

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