著者
井上 雄吉
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.542-553, 2007-09-18
被引用文献数
4 3

半側空間無視(USN)に対する1Hz反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の効果や,局所脳血流量(rCBF)の変化を調べてUSNの回復過程に関わる脳内機構について検討した.対象は,右大脳半球の血管障害22例(脳梗塞19例,脳出血3例)で,発症からrTMS開始までが70〜220日(平均128.3日)であった.rTMSは,左頭頂後部(P5)を運動閾値の90%の強度で,1Hz,500発刺激を隔日で計7セッション施行した(2例で2クール施行).評価は,Behavioural inattention test (BIT)や視覚的探索課題-反応時間,Xe-CT(cold法)などを用いて行った.結果では,抹消試験や模写試験,視覚探索反応時問は,rTMS施行1週〜2週後から改善を認め,その効果は終了2週後も持続していた.rCBFでは,ITMS施行後に右小脳半球で有意の増加を認めた.以上より,健側半球への低頻度rTMSはUSNに対して有効と思われ,USNの回復には小脳を含む脳内機構の改善が重要と考えられた.

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