著者
清水 敦彦
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.a1-a12, 2007-03-01

「作家と自殺 太宰治について」と題してその考察を試みたのは、かなり以前のことで、前任の短期大学勤務中で、家政科の「教育心理学」や食物栄養科の「精神保健」(当時「精神衛生」という名称であった)などを担当しつつ、群馬大学の医学部精神神経科の医局に所属し、精神科臨床に取り組んでいた頃である。特に統合失調症(当時は精神分裂症と呼でいた)の青年期の患者に焦点をあてていたが、当時勤務する大学の学生に躁うつ病の患者がおり、その学生が「自殺したい」と訴えてきたことにより、自殺という言葉にも興味を持ち、さまざまな文献にあたった。そうした中にあって、岩手大学教授で教育心理学を担当しつつ、石川啄木の研究をしていた大沢博著『啄木の病跡』を読み、また、福島章著『天才の精神分析』に触れ、病跡学(pathographie)という言葉を発見した。その後、日本病跡学会のあることを知った。そして足利短期大学へ赴任してから『栃木いのちの電話』のあることを知り、自殺に関する関心も高まり、「作家と自殺」や「文学と自殺」に興味を持ち続けてきた。この論文では、二十五歳の若さで自殺した「薄幸の歌人江口きち」のただ一冊の著書『武尊乃麓(ほたかのふもと)』に基づいて、その作品と生涯についての考察を試みたのである。

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こんな論文どうですか? 作家と自殺 : 薄幸の歌人江口きちの作品とその生涯(清水 敦彦),2007 http://id.CiNii.jp/aymiL

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