著者
栗原 俊夫
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.35-39, 1997-03-15

昭和31年に始まり,現在も細々とではあるが続けられている「地の塩の箱」運動について,運動の創始者である江口榛一の思想(特に運動の動機)に焦点を当てて考察した。「地の塩の箱」は市中に設置され,その箱の中に有志から入れられた寄金を貧しい者に自由に使ってもらおうという趣旨の箱で,最盛期には国内だけでなく海外でも設置された。この箱の設置運動は慈善が最終目的ではなく,「無償の精神」を社会に広めようとする精神運動であった。江口榛一がこの運動を始めた直接の動機は社会正義的なものであったが,その背後には彼の複雑な人格の問題と信仰が存在していた。江口にとってこの運動は根本的には自己の魂の救済を求める行為であったと思われる。
著者
橋本 知子
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.67-78, 1994-12-15

この研究は看護婦の「やさしさ」に関する実態を質的研究によって明らかにしようとしたものである。看護婦(120名)や看護学生(175名)が看護の専門的援助関係の「やさしさ」は一般の「相手の立場になる」「共感」「受容」「尊重」に含めて「専門的知識」「厳しさ」を用いて識別しており, 更に経験を通して「客観性」「理解」「謙虚」「奥深さ」をもって, 対象とある一定の距離を保ちつつ発展していく特徴的な「やさしさ」を示していた。
著者
清水 敦彦
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.a1-a12, 2007-03-01

「作家と自殺 太宰治について」と題してその考察を試みたのは、かなり以前のことで、前任の短期大学勤務中で、家政科の「教育心理学」や食物栄養科の「精神保健」(当時「精神衛生」という名称であった)などを担当しつつ、群馬大学の医学部精神神経科の医局に所属し、精神科臨床に取り組んでいた頃である。特に統合失調症(当時は精神分裂症と呼でいた)の青年期の患者に焦点をあてていたが、当時勤務する大学の学生に躁うつ病の患者がおり、その学生が「自殺したい」と訴えてきたことにより、自殺という言葉にも興味を持ち、さまざまな文献にあたった。そうした中にあって、岩手大学教授で教育心理学を担当しつつ、石川啄木の研究をしていた大沢博著『啄木の病跡』を読み、また、福島章著『天才の精神分析』に触れ、病跡学(pathographie)という言葉を発見した。その後、日本病跡学会のあることを知った。そして足利短期大学へ赴任してから『栃木いのちの電話』のあることを知り、自殺に関する関心も高まり、「作家と自殺」や「文学と自殺」に興味を持ち続けてきた。この論文では、二十五歳の若さで自殺した「薄幸の歌人江口きち」のただ一冊の著書『武尊乃麓(ほたかのふもと)』に基づいて、その作品と生涯についての考察を試みたのである。
著者
山崎 信也 川島 佳千子 清水 敦彦
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.19-25, 1998-03-15

「走る」運動能力の発達は幼児のはやい時期に獲得されるが,「跳ぶ」,「平衡をとる」といった運動能力は幼児の後期になって獲得が始まる。裸足教育は運動能力の発達を促すと考えられるが,「跳ぶ」,「平衡をとる」といった運動を含む「連続片足とび」は「走る」より幼児の運動能力の発達の差をより顕著にすると考えられる。このことから幼児の運動能力の発達を「連続片足とび」の測定による評価を試みた。測定分析はコンピュータによる画像解析器による二次元運動計測システム等で行った。「連続片足とび」の速度と歩幅の2つを指標とした。裸足教育の経歴の長い保育園の児童は「連続片足とび」の速度も歩幅も大きな値を示し,運動力能の発達が大きい幼児が多くいることを示唆した。また「連続片足とび」の速度と歩幅の2つの指標の間に正の相関があることが示された。このことは「走る」運動能力が獲得されるときに見られることと同じで,「連続片足とび」の運動能力が獲得されつつあるといえる。
著者
田村 伊知朗
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.65-73, 2003

Gegenstand der folgenden Abhandlung ist das zentrale Problem und Programm der junghegelianischen Philosophie und der modernen Philosophie : 〓die Verwirklichung der Philosophie "oder〓 die praktische Vereinigung von der Vernunft und der Wirklichkeit". Eine Hauptaufgabe der Interpretaion dieses Problems wird es dabei sein, Problemstellungen des Freiheitsbegriffs als des Ideals der modernen Philosophie nachzugehen. Diese philosophische Problemstellung bezieht sich auf das moderne politische Ideal, welches die Verwirklichung der Freiheit in der burgerlichen Gesellschaft in der Mittelpunkt stellt.Freiheit ist einerseits Voraussetztung und Wesen der burgerlichen Gesellschaft. Herrschaft ist andererseits ihre Ergebnis. Die Einheit beider bestimmt den antagonistischen und dualistischen Charakter der Modernen im ganzen. In der wirklichen Sphare der Modernen ist die Freiheit weder vorrangig die der Einzelindividuen noch die der Menschheit. Jede Moglichkeit, die Freiheit in der idealen Sphaire mit der in der wirklichen Sphare in Ubereinstimmung zu bringen, entpuppt sich als Illsion. Die Aufhebung der Modernen uberhaupt wird also vollstandlich problematisch.
著者
清水 敦彦 浅野 良雄
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-19, 2003-03-01

The "dialog method" took out only active listening technique in counseling and simplified it. A principle of the "dialog method" is a thing to "check the main point of a partner wanting to say by a word to a partner before saying a thought and a feeling of oneself." The purpose of this study is to make the standard that judges arrival degree of the "dialog method" skill. The writers made the questions in order to measure the "dialog method" skill and carried out investigation. As a result, a meaningful difference was watched between degree of achievement of the "dialog method" and scores, and it became clear that this standard was effective.
著者
石黒 久美
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.9-13, 20, 1999-03-15

平成8年に出された「看護婦等養成に関するカリキュラムの改正」によると,21世紀に向けた看護の多様化と高齢化社会に対応するために看護婦の資質の向上を目的とした,幅広い人間性を培う教育が必要である,とあげられている。しかし,看護基礎教育の現場である養成機関に学ぶ学生の大半は青年期から成人前期にあたる若者を占め,自己意識確立の成長段階にある彼らには,人間性を重視する前に自己意識が大きな課題としてあるため,実践教育の様々な困難さを先行研究で示唆されている。今回,看護学生のほとんどといえる青年の意識構造をNHK世論調査と,総務庁による青年の連帯感に関する調査より,自分の友人関係を主に近隣への人間関係をどの程度密着したい意識があるのか明らかにした。その結果,現代の若者の意識は友人関係に対して,深い付き合いを意識には求める傾向が強く,また,他の周囲の人間への意識は20年前の日本の若者に比して確実に低下傾向を示していることが明らかとなった。
著者
清水 敦彦 板場 昌栄 兵藤 友妃子 石川 悦代 木村 恵子 石崎 優美 新井 真麻 藤原 五月 齋藤 美希 石原 寿美子 関口 久美子 阿部 奈美子
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.15-25, 2007-03-01

Fundamental life habits are five items, "eating", "sleeping", "excretion", "purity", "attach or detach" in the field of developmental psychology. We studied eating of children and infants for long years, and reported on No.27 of Memoirs of Ashikaga Junior College, 2006. In this paper, we studied on sleeping of children and infants. It is thought in general that sleeping training of infants starts with making infants recognizing of distinguishing day from night. After about 4 months after their birth, infants starts to sleep deeply in night. When infants are just born, they spend a day as repeating sleeping and waking many times. But about 4 weeks after their birth, they recognize day from night. Then, it is good to start sleeping training after about 4 months from their birth. We did questionnaires about sleeping training of infants of urban areas and compared our data to old data of sleeping training of infants.
著者
清水 敦彦 板場 昌栄 兵藤 友妃子 石川 悦代 尾花 恵子 石崎 優美 新井 真麻 藤原 五月 齋藤 美希 石原 寿美子 武藤 由莉 藤掛 由美子 平澤 深雪
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.25-29, 2008-03-01
被引用文献数
1

I squeezed a focus for evacuation, urination, and here got investigation and watched it to watch how there was the posture that I left to the independence of the child to mothers to some extent to let you acquire a habit and a rule. As a result, as for the most, a thing with the posture "that I put it together for the stages of development of the child and taught" became clear.
著者
清水 敦彦
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.一-八, 2008-03-01

幼稚園・保育所さらには地域の公民館からの依頼で講演に行った際、多くの母親から質問を受ける。その内容の中には「自分の子どもの子育てに自信が持てない」とか「子どもの性格」に関することなどの質問が多い。 そこで、早稲田大学の本明寛名誉教授が百人の母親を対象に行っている「母親テスト」に習って、性格に関する項目八問を抽出、幼児用に改めた質問を作成し調査を試みた。その調査結果に基づいての考察であるが、子どもを導くための助言に役立つような結果が得られたので報告する。
著者
山崎 信也 栗田 佳江
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.83-87, 1995-04-01

聴力が正常か否かを論議する時,聴力の正常な加齢低下の定義が必要になる。正常な加齢低下の条件を満たした日本人を代表できるだけの十分に大きな集団の年齢別平均値が日本人の聴力標準値と言えよう。正常な加齢低下の条件を吟味し,また,これまでに報告された中の5つの聴力検査値群がどの程度標準値として耐えうるかを論議し,それらを比較検討した。