著者
佐々木 政司
出版者
一宮女子短期大学
雑誌
一宮女子短期大学紀要 (ISSN:1349936X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.55-62, 2006-12-21
被引用文献数
1

個人の組織社会化過程において、組織参入前に抱いていた期待と組織の現実の間のギャップから幻滅を感じ、離転職行動に繋がることが多いが、この問題に対し、心理的リアクタンス理論と現実的職務予告の観点からアプローチし、新たにリアクタンスモデルを提出し、その妥当性について検討した。その結果、現実的職務予告による参入前の期待の低減効果が確認されなかったが、幻滅を感じたときに喚起された心理的リアクタンスが離転職傾向を高めることや、上司との垂直的な交換関係の構築によって職務満足度が高まることによりその傾向を緩化することができることが見出され、当該モデルの妥当性が確かめられた。また、リアクタンスによって賃金などの周辺的な要因に対する期待が高まり、離転職傾向を高めることも確認された。現実的職務予告については従来からの期待を低減し幻滅を感じさせないようにするのではなく、幻滅を感じたときにそのショックを緩和するように機能する可能性が示唆された。

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