著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.83-118, 2007-03-07

マルティン・ハイデガーが1933-34年の間,フライブルク大学の学長を務めたことはよく知られている。しかし,そのおよそ1年の間,彼は国民社会主義ドイツ労働者党,すなわちナチスの党員として,同大学のナチ化のために精力的に活動したことはあまり知られていなかったが,近年ヴィクトル・ファリアスとフーゴ・オットの研究によって,ハイデガーとナチスとの関係がこれまで考えられていた以上に密接で深刻であることが理解されるようになった。フライブルク大学学長ハイデガーは,その任期期間中にさまざまな諸事件にかかわっているが,そのなかで見逃すことができないのは,彼がいくつかの密告事件に関与したことである。そのうちのひとつが,世界的な化学者ヘルマン・シュタウディンガーにかんする密告事件である。この事件は,国家秘密警察,つまりゲシュタポによって「シュテルンハイム作戦」と名付けられた。この「シュテルンハイム作戦」は長い間歴史のなかに封印されてきたが,この封印を解いたのがオットの研究である。本論文では,このオットの研究と原典資料を踏まえながら,「シュテルンハイム作戦」,言い換えればシュタウディンガー事件の歴史的真実を明らかにするとともに,この密告事件を主導したハイデガーの思想と人格の暗部に迫ることにしたい。

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こんなに危ない目にあっても亡命しないでノーベル化学賞のシュタウディンガーすげえ http://t.co/4dfADaMq1v

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編集者: Sube
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