- 著者
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北原 靖子
- 出版者
- 川村学園女子大学
- 雑誌
- 川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.97-108, 2007
心理学科学部二年次生対象の科目「基礎実験演習」の一部として,行動観察法の学習案を考案し試行した結果について検討した。本学習案では,嘘発見という面白いが難しいテーマを取り上げ,探偵ゲーム形式に仕立てて導入した。名探偵を目指して「何を・どのように」観察すればよいのか模索する体験を通して,観察指標を的確かつ客観的に設定するにはどのような考慮が必要なのかを理解することを主たる目的とした。さらに,客観性を保証するために考案された既存の工夫(判定一致率)についても紹介した。また,独自に予想を立てる,材料を決定する,協力者をお願いするなど,他にも学生自身が主体的に動くための仕掛けを盛り込んだ。その適用結果として,ある班Xにおける実施の経過を追ってみたところ,教材としては十分関心を呼んだものの観察法ならではの醍醐味を味わってもらうにはさらに課題が残ることが示された。今後はねらいをもっと絞り込み,基本面の達成をしっかり確保する工夫が必要であろう。