著者
辻 浩和
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.188-202, 2020-03-15
著者
辻 浩和
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.132-150, 2021-03-15
著者
梅澤 嘉一郎
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.97-117, 2001-03-15

大学生のホームレス観について, 講義の際に日本やアメリカのホームレスの実情をVTR等をまじえて事情を紹介し, 講義の前と後の変化の状況を共学大学生並びに女子大学学生につきアンケート方式で実施し, 共学大学生と女子大学生, あるいは共学大学における女子大学生と女子大学生との間にどのような相違があるか検討をおこなった。検討をおこなった結果, ホームレスを「野宿者だけに限定せず, 住宅困窮者等も含めて捉える」学生が共学大学, 女子大学ともに共通して過半数を超えている。ホームレスの原因につき「個人責任だけでなく社会経済的要因もある」こと, 従って, 「行政の対策が必要」との見方については, 共学大学の男子大学生, 共学大学の女子大学生, 女子大学学生の順に高い割合を占めた。また, 変化の内容を意識的項目と客観的項目とで比較すると, 意識的事項につては, 共学大学の男子大学生, 共学大学の女子大学生, 女子大学学生の順に高い割合を占め, 一方, 客観的事項は, 共学大学の女子大学生, 女子大学学生ともに同じであったが, 男子学生は女子学生より約3倍変化し男女差が顕著に認められた。総じて, この調査結果から, 共学大学女子学生より, 女子大学学生の方が, 2倍程度ホームレス観の変化が顕著であった。ホームレス問題解決の鍵は住民の合意形成といわれる。本検証結果から今後のホームレス問題解決に向けての展望が開かれることを期待したい。
著者
菱田 信彦
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.159-175, 2006-03-15

イギリス人の子ども観は,ピューリタン主義の影響を受け,子どもをなるべく大人の世界に触れさせないことをよしとするものだった。17世紀ごろまでには,子どもは社会規範を身につけるまでは世の中に出さず,家庭や学校で教育するのがよいとする考え方が一般的になり,その一方で,子どもの世界を実社会の規範や価値観に束縛されない「別世界」としてイメージ化する傾向が生じた。このような子ども観はイギリス児童文学の発展に大きく影響し,とくに19世紀後半から20世紀初頭にかけての児童文学作品においては,子どものイメージをどのように扱うかについて作者がさまざまに模索した様子が見てとれる。ある作品では子どもは社会秩序を混乱させかねない要素として危険視され,また他の作品では,子どもの世界が理想化され,日常を離れてその世界に遊ぶことへのあこがれが描かれた。イギリスにおいてこれほど豊かな児童文学の伝統が花開いたのは,イギリス社会におけるこの大人と子どもの間の独特の緊張関係によるところが大きいだろう。
著者
柚木 理子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.97-114, 2006

本稿の目的は,1990年代終わりから2000年代初めにかけての日本の労働時間を分析することにより,バブル崩壊後の男性の抱えるジェダー問題を考察することにある。雇用状況の悪化と共に日本の男性の働きすぎは異常ともいえる状況にある。過労死の増加と合わせ,週60時間以上働く男性が増加している。とりわけ,「サービス残業」という不払い労働が恒常化しているのである。オイルショック以降,妻は時間量を調整しながら,家事育児の不払い労働と両立させる形で支払い労働を担うようになり,「家庭と仕事の二重負担」を強いられてきた。だが「二重負担」に悲鳴を上げているのは妻ばかりではない。男性は所定内労働と所定外労働という支払いの対象になっている労働に加え,報酬が支払われない「サービス残業」を行っている。本来支払いの対象になるべき市場の中で行われている労働が「サービス」という「見えない」形にされ,市場における支払い労働と不払い労働の「二重負担」を負っていたのである。日本企業は「大黒柱」としての役割を男性に背負わせ,男性を「自発的に」働かせ,男性労働者の好意による「サービス」を引き出し,それを潜在的な「含み資産」として男性を死に追いつめるまで活用してきたのである。
著者
長崎 靖子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.131-147, 2007

本稿では,人称代名詞「僕」「君」に関し,(1)明治以前の「僕」「君」の使用,(2)明治以降の「僕」「君」の使用,(3)女性に対する「僕」「君」の使用の3点を,使用者,使用相手,使用意図を中心に観察した。明治以前の資料では,「僕」は丁寧な言葉遣いとともに使用が見られるところから,謙称として使用されていたと考えられる。一方「君」に関しては,主君に対する使用や遊里の特別な使用は見られたが,現代的な用例は確認されなかった。明治に入ると,初期の資料では「僕」は謙称の用例とともに,対等の立場での使用が見られる。「君」に関しても,敬意を含んだ使用と対等な立場での使用が見られるようになり,現代の人称代名詞へ移行する過渡的な状況が確認された。明治半ば以降は,男性同士の対等の関係での「僕」「君」の使用の広まりが見られた。男性の,女性に対する「僕」「君」の使用に関しては,明治前期にはまだ一般的ではない。「僕」は明治半ば以降,頻繁に見られるようになる。また「君」の使用は,明治の末年から大正の作品に確認されたが,用例はまだ少ない。女性に対する「君」の使用が広がるのは,大正末から昭和初期にかけて流行した「モダンボーイ」「モダンガール」という特殊な風俗の中での使用からと考えられる。
著者
酒井 正子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.123-142, 2005-03-15

日本本土の葬儀は一般に厳粛さを尊ぶ。対照的に琉球弧(奄美・沖縄)の島々では,死者に対して声をあげて泣き,うたい,語りかけることは別れに不可欠な行為とされた。声をかけることは情けをかけることであり,それにより死者も鎮まると考えられていたのである。本稿でとりあげる<葬送歌>とは,死後四十九日ころまで葬送に直接関わってうたわれる,無伴奏の歌謡群である。それらは葬儀での儀礼的な<供養歌>と,死後四十九日頃までの個人的な<哀惜歌>に分けられ,様式的には泣きじゃくりに近い不定型な弔い泣きから,有節的な短詞型歌謡までを含む。歌謡の生成と様式化を考える上でも,また「死の受容」を考える上でも重要なジャンルであるが,1970年代以降しだいにうたわれなくなっている。中でも最も廃れている沖縄諸島の<葬送歌>の習俗を,文献から検証する。幕末のフランス人宣教師の記録,国王やノロ(神女)そして一般庶民のための葬送のウムイ(神歌),ムヌイーナチ(物言い泣き),別れあしび(若者仲間の葬宴)などに言及し,琉球弧の他地域と比較しつつその位置づけをさぐる。また明治近代化による沖縄的習俗の撲滅運動の一環として「泣き女」がやり王にあげられた背景を,ジェンダー的な視点から考察する。
著者
高山 啓子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.53-66, 2002-03-15

The purpose of this paper is to show the ethnomethodological approach to medical field, particulary doctor-patient relationship. Some studies of medical sociology have suggested that doctor-patient relationship is assymetry. Medical ethnomethodology explicates how this assymetry between doctor and patient is organized and achieved by participants' interaction in medical consultation. First, I overview historical development of medical ethnomethodology. Second, I examine how asymmetry of doctor-patient relationship is treated by Talcott Parsons who first theorized this problem. Finally, I show that Christian Heath's studies of doctor-patient interaction demonstrate the asymmetry of doctor-patient relationship.
著者
野村 文子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.169-181, 2006-03-15

布橋灌頂会(ぬのはしかんじょうえ)とは,江戸時代の民俗行事であり,宗教儀礼である。女性は明治5年まで「女人禁制」のために立山に登拝できず,それゆえに,立て前としては極楽往生できなかった。実際には,それの代替えとも言うべき儀礼が女性救済のために用意されており,それが,布橋灌頂会であった。本稿では,立山博物館を中心とした研究・調査に基づいて再現された,この宗教儀礼2回(1996年・2005年)に参加した体験をもとに,この儀礼の意義を考察する。富山県国民文化祭立山フェスティバルの中心的イベントとして再現された第1回の時点では,白い死装束を着て女人衆を演じ,その後9年ぶりに再現された第2回の時点では,観客として参加した。伝統文化の継承,及び,女性学(女人救済・女人禁制)の視点に加え,2005年の調査では新たに「生と死」,すなわち,再生儀礼の要素を重要視する。目隠しをして布橋を渡り,血脈(けちみゃく)をいただき,いったん死んで,生き返る。これは現代人にも魅力ある一種の癒し儀礼とも考えられる。
著者
上橋 菜穂子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.205-221, 2002

It is often stated that the Aboriginal society consists of the Elders system. Actually, in the Aboriginal society, the Elders were at the leading position in both politics and religion. The Elders also had the authority of punishing a person who broke "the Law", which covers all of their society as the standard. But the destruction of the Aboriginal society by colonialization changed their social system completely. The white men became the social authority and also hold all of the legal authority. That is why the Elders had lost the authority to lead the Aboriginal society. But after 1970s, in the stream of the Aboriginal culture revival, the Aboriginal policy made a great change from protection and discrimination policy or assimilation policy to self-management policy by which the Aborigines take part in politics autonomously. When this policy became the mainstream, the role of the Elders, who had traditional culture knowledge and were the traditional authority, achieved a new understanding. In this paper I paid an attention to the activity of "the commission of Elders" which was started by the county government leading Western Australia in 1995. And with this change of the Elders role, I sought to bring attention to the social change and the condition of the Aboriginal society that followed.
著者
磯野 秀明
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.1-15, 1998

コミュニケーション・プロセスにおいて, 情報の送り手と受け手の間で意思疎通や相互理解がうまくいかないなどのディスコミュニケーションは日常的に起こり得ることである。ディスコミュニケーションは単に人間同士のコミュニケーションだけでなく, 情報技術を1つの基盤とした現代の情報化社会においては, コンピュータとのコミュニケーション, コンピュータや通信機器などを介したコミュニケーション及び企業など組織で戦略的に必要とされている情報システムにおいてもディスコミュニケーションの問題は避けられない。ここでは, ディスコミュニケーションの現象のいくつかを示すと共に, ディスコミュニケーションが何故起こるのかを中心として, 対人コミュニケーション, ヒューマン・マシンコミュニケーション及び情報システムにおいて, この問題の原因などを検討してみた。コミュニケーションにおける情報の発信は, 特に情報の受け手に何が起こるかということを認識することが重要となり, 情報が正しく伝わったとしても, 情報の受け手の立場・気持ちにそぐわなかったら, それはディスコミュニケーションということになる。
著者
谷津 貴久
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.57-67, 2000-03-15

反応時間の確率分布モデルをデータに適用する際, 複数のモデルを比較選択する方法としてAIC(Akaike information criterion)の利用が挙げられる。しかしAICによって常に真のモデルを選択することができるのかという疑問が生じる。本稿では, 対数正規分布・ガンマ分布・複合指数分布・指数正規合成分布・指数ガンマ合成分布・ガンベル分布・ワイブル分布・ワルド分布の8種の確率分布に対して, AICにより真の分布を正しく選択できるのかどうかを計算機シミュレーションにより検証した。その結果, 複合指数分布と指数正規合成分布が真の分布である場合にははAICによって正しく選択することができず, 試行数が100以下ではどの分布も正しく選択することが困難であることが分かった。また, 真の分布にかかわらずガンマ分布が選択される率が高いという結果も得た。以上より, AICのみによって反応時間の確率分布モデルを選択することには慎重になるべきであると結論した。
著者
坂口 早苗 坂口 武洋
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.127-143, 2004-03-15

The frequency and duration of tobacco-related scenes, including cigarette smoking, side stream smoke, tobacco packs, purchasing, and an ashtray with many cigarette ends, an ashtray without cigarettes etc., were measured in Japanese television dramas, a film and a talk show. A very high frequency or tobacco-related scenes was observed on television screens when the main actor was a smoker. To prevent young people from smoking, we need to make tobacco-free television dramas, films and talk shows. Reducing tobacco-related scenes would help change the Japanese social norm of being highly tolerant of smoking.