- 著者
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細川 吉晴
- 出版者
- 日本草地学会
- 雑誌
- 日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.3, pp.226-233, 1988-10-31
- 被引用文献数
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草丈の異なる条件下で育成牛群に対する牧柵の隔障機能を検討した。試験は草丈60〜70cm,30〜40cmおよび20〜30cmの3時期に240m^2の試験区内に平均体高110cmの育成雌子牛24頭を夕刻から翌朝までの15時間放牧し,採食跡の平面,立面的分布と架線弛みを測定した。牧柵構造は有刺鉄線4段張り,架線間隔および柵柱間隔をそれぞれ3水準とした。その結果,草丈の高い時期には牧柵構造の違いが顕著で,架線高さが30,55,80,120cmの柵柱間隔4mの牧柵や架線高さが30,50,75,110cmの柵柱間隔4mおよび5mの牧柵では,牛群の柵外への採食行動は規制され,架線高さ30〜80cm間を狭めた効果を認めた。柵外への採食行動は柵柱間隔が広いほど柵外80〜100cmまで行われた。一方.草丈が40cm以下の植生条件では牧柵構造の違いによる牛群の採食行動の差異は認められなかったが,採食跡は柵外80cm付近まで認められた。放牧試験中の牛群の脱柵はなく,成牛に適用した牧柵構造は育成牛群にも適用できるが,草丈が低い場合に30〜80cm間の架線の隔障効果は明らかでなかった。また,既報の成牛での試験結果から,柵外の採食跡が牧柵ラインから離れているほど架線の弛みの大きくなることが想定されたが,両者の間に相関はなく,牛群れの体高が成牛よりも15〜16cm低かったことから,育成牛群はいろいろな高さの架線の間から柵外へ任意に採食したものと考えられた。