著者
小池 正徳 嶋田 徹 雨宮 良幹
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.101-107, 1993
被引用文献数
21

バーティシリウム萎ちょう病に対するアルファルファの細胞レベルにおける反応を明らかにするため,抵抗性3個体(V-16,E-18,K-1それぞれ品種バータス,ヨーロッパ,キタワカバ由来),感受性3個体(V-6,E-8,T-3それぞれ品種バータス,ヨーロッパ,ソア由来)より誘導したカルスからプロトプラストを調製し,Verticillium albo-atrum培養濾液および菌体細胞壁成分に対する反応を調べた。菌培養濾液を透析により4つの画分(A:分子量3500以下,B:3500以上12-14,000以下,C:12-14,000以上50,000以下,D:50,000以上)に分画し,それぞれのプロトプラストに20%の濃度で処理し,12時間後に生存率を調査した。各画分ともプロトプラストの生存率は減少したが,画分Aに対して感受性個体のプロトプラストの生存率の減少が顕著であり,画分C,Dに対しては抵抗性個体のプロトプラストの生存率の減少が顕著であった。次にプロトプラストに菌体細胞壁成分を処理し,生存率を経時的に観察した。その結果,抵抗性個体のプロトプラストの生存率減少が感受性個体のそれらに比べ顕著であった。以上の結果から,Verticillium albo-atrum培養濾液を用いて細胞選抜を行う場合は,培養濾液全画分を選抜因子として用いるよりは,低分子画分(画分A)を分画して用いた方が効果的であることが予想される。また,培養濾液高分子画分(画分C,D)および菌体細胞壁成分に対するプロトプラストの反応率は抵抗性の指標として利用できることが示唆された。

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