著者
吉野 成美
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.431-448, 2007-03-25

19世紀初頭のイギリスにおいて古典派経済学の大衆化に貢献した人物として,女性著述家であるジェイン・ハルディマンド・マーセットとその著書の一つ『経済学対話』を取り上げる。女子高等教育の制度が整っていなかった当時において,この著書は特に女性読者にとって経済学を学習する上で大きな役割を果たした。本論では,その貢献を,マーセットのジェンダー意識や文学テクストへの言及に顕著な作品内の様々なレトリックに注目し,それらを精読・分析しながら,当時の女性読者を「感傷的」文学の世界から,いかにして経済学といういわゆる「科学的」学問の世界に導くことに成功したかを考察する。

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