著者
酒井 博 川鍋 祐夫 藤原 勝見
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.198-205, 1969-11-29
被引用文献数
1

オーチャードグラスの播種翌年および翌々年の草地につき,窒素量25g,12.5g(m^2当り),刈取り高さ5cm,15cmの処理区を設け,葉身,葉鞘・茎,根,枯死部の重量,葉面積を測定し,生長解析を行なった。本報では肥料および刈取り処理の平均値により,春,夏,秋および早春の生産量と生産過程を比較した。1.年間の乾物収量はm^2当り720gで,多くの粗放管理の永年草地の収量水準であった。1日当り乾物収量は4〜5月がもっとも高く,9〜11月がもっとも低く,春高秋低型である。これに対し,純日生産量は夏に中だるみする型である。収量率は春は40〜50%,夏は71%,秋は21%で,この季節変動が収量の季節的偏りに影響を及ぼしている。夏の低収は乾物生産の低下に,秋の低収は収量率の低下に原因が求められる。2.夏は根重の低下が激しく,回復が遅い。秋は春,夏に比べ,葉身重に対する根重または葉鞘・茎重が多い。早春は高い生産力の期間が長いことが特徴で,根,葉身,葉鞘・茎の重量すべてが増加した。刈取り後の生育過程は,葉鞘・茎重,根重の減少が起る時期,それらの漸増が起る時期および根重の速やかな増加が起る時期の三つに大別された。早春は茎の割合が,秋は根の割合が多いため,ともにC/F比が大きい。反対に春,夏はC/F比が小さい。3.葉面積示数は春,夏,秋とも刈取り後約30日で5.5〜6.0に達した。しかし高温乾燥であった1967年の夏は約3にしかすぎなかった。葉積は純生産量と相関が高いが,夏は葉積の割に純生産量が低い。4.純同化率は春が高く,夏は低く,秋はその中間であった。夏に低い理由の一つは高温による呼吸の亢進にあると考えられた。収量生長速度は純同化率と同傾向であった。

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