著者
西田 晴美
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
no.27, pp.43-54, 1999-03-01

ジョイスは言葉の魔術師であったといわれている。彼は言葉による美の創造を希求し,言葉の持つ可能性を信じて,それを引き出すことに成功した。本稿で取り上げるのは,実験小説『ユリシーズ』の以前に書かれた,まだ若干写実主義の香りが残る『若き日の芸術家の肖像』である。ジョイスの芸術的目的である美の創造がこの作品でどのように成就したのか,その文体的特徴を究明していく。そしてこの作品から取り入れられた「意識の流れ」の手法が文体に及ぼした影響も合わせて考察する。多様な文体意識の流れ文体の音楽性

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