著者
応 傑
出版者
朝日大学
雑誌
朝日大学経営論集 (ISSN:09133712)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.9-17, 2006-09

本稿は「無頼派」作家坂口安吾の代表作である「桜の森の満開の下」の考察を通して、安吾文学の主題のひとつ-本質的な意味において、人間は救いがないこと-を指摘したい。ただ、人間の本質的な悲哀を指摘することこそが安吾文学の価値だと思うことは明らかに誤解だ。安吾文学の価値は、人間の本質的悲哀を認識した後の悟りにある。人間の悲哀を認識してこそ、幻的な道徳、価値を、「ファルス」の態度で肯定し、否定することができ、真の意味で人間に愛を持てる。そういう点で安吾文学は、既存道徳に大きな衝撃を与えると同時に、慈悲さも感じさせるものだといえよう。

言及状況

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TIW、あれもこれもボチボチ読んでる最中だけど、救いはないのでは?っていう感想を見かけてこれをふっと思い出した。14pの終わり〜終盤までのところが特に https://t.co/kUoXb1YwG7

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