著者
小島 健
出版者
立正大学
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.45-77, 2007-03

今から半世紀前の1957年3月25日に欧州経済共同体(EEC)を設立する条約(ローマ条約)がフランス,ドイツ,イタリア,ベルギー,オランダおよびルクセンブルクの6ヵ国によって調印された.EECは,今日27ヵ国の加盟国を有する欧州連合(EU)の母体であるが,1973年にイギリスを始め3ヵ国が新規に加盟するまで欧州大陸の一部に限定された共同体に過ぎなかった.EECの設立に関しては,これまでも政治,経済,法律など様々な分野で研究が行われてきた.しかし,それらの研究のほとんどは,フランスやドイツなど大国の対応に限定されており,小国に関する研究は僅かであった.ところが,本稿で明らかにするようにEECの設立においては小国同盟であるベネルクス同盟が主導的役割を果たした.ベネルクスは,ベルギー,オランダおよびルクセンブルクとの間でEECに遡る事10年前の1948年に関税同盟を発足させ,さらに1950年代半ばになると事実上の経済同盟へと発展した.ベネルクスはEECのマスター・プランを提供した面も持つ.そこで,本稿では,ベネルクス経済同盟とEEC設立との関係を中心に,EEC設立の経緯を考察することにより,欧州統合における小国の役割およびベネルクス経済の実態について接近する.

言及状況

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編集者: Nnh
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