著者
河野 賢司
出版者
九州産業大学国際文化学会
雑誌
九州産業大学国際文化学部紀要 (ISSN:13409425)
巻号頁・発行日
no.36, pp.23-84, 2007-03

今回掘り起こしてみたのは,アイルランドの北(ベルファースト)と南(コーク)出身の2人の劇作家-ジェラルド・マクナマラとレノックス・ロビンソン-で,主として彼らの1910年前後の時期に焦点をあててみた。世紀転換期以降,首都ダブリンのアビー劇場を中心にアイルランド文藝復興運動が華やかに展開されたのはよく知られており,作家・作品研究も盛んであるが,同じ時期にベルファーストにおいては地元の劇団組織「アルスター文芸劇場」がマクナマラの個性的な諷刺喜劇を生み出していたことや,アビー劇場の運営に携わる前のコーク時代に創作されたロビンソンの初期作品にアイルランド農村社会の伝統的特質が浮き彫りにされていることなどは,寡聞ながら,余り言及されてこなかったように思われる。拙論がこの点で新しい視座を提供できれば幸いである。

言及状況

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