著者
中村 夕衣
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-12[含 英語文要旨], 2008-03

本稿では、『アメリカン・マインドの閉塞』の著者として知られるアラン・ブルームの大学論について考察する。これまでブルームの大学論は、保守主義の立場から展開される西欧中心主義的な議論、あるいは過去の大学文化を取り戻そうとする懐古主義的な議論と見なされ、批判されることが多かった。本稿では、そうした諸批判を検討しつつ、ブルームの大学論がポストモダンを経た現在でも意義深いものであることを明らかにする。彼の描く大学の歴史は、中世に起源をもつとされる通説とは異なり、近代、とくに啓蒙主義以降の「哲学」との関連で展開されている。近代に誕生した「大学」は、啓蒙主義の企ての限界が露呈するなかで解体を余儀なくされた。啓蒙主義の限界がどこにあり、またその後の大学はどのような歩みを経て現代に辿り着いたのか。独自の哲学史観のうえで展開されるブルームの大学論を読み解き、「哲学の場としての大学」の可能性を模索する。

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