著者
海塚 敏郎 釘宮 正次
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.89-94, 1994

教科学習の遅れが著しい小学校2年生の男児に対して感覚統合療法の原理に基づいて治療を行った。本児は学力の遅れの背景に視知覚、視覚-運動協応能力の問題、筋緊張の低下とそれに伴う微細な運動能力の著しい低下を示した。感覚統合的視点から、前庭覚-固有覚-視覚の統合を目的として、約8か月にわたり原則として週1回(1回60分)の治療を18回行った。結果は、動作性と言語性の知的能力の有意な差異が解消した。また行動的には視覚認知,目と手の協応運動に改善がみられ、筋緊張の増強が観察された。それに伴って粗大運動も滑らかになると共に、運動課題への取り組みも積極的になっている。学校での学習もこれと平行するように改善している。読み・書きの障害への対応として、今後、認知訓練へ治療の重点が移っていくことが予想される。

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