- 著者
-
徳永 英明
田中 道治
- 出版者
- 日本特殊教育学会
- 雑誌
- 特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.1, pp.1-11, 2004-05-30
本研究の目的は、知的障害児および健常児の自己意識について、自己の変容に対するイメージと理想の自己イメージに着目しながら、その様相を明らかにし、両イメージの関係を発達的に検討することにあった。語彙年齢をもとに区分された3段階の発達レベルの知的障害児および健常児にインタビューし、変容の自己イメージについては、内容領域、程度、重要度の観点から検討した。また、理想の自己イメージについては、内容領域、願望度の点から検討を加えた。その結果、知的障害児が『社会性』の面で、健常児が『能力・身体』の面で自己の変容および理想を認めやすいという特徴がみられた。また、健常児において、変容の程度-変容の重要度-理想の願望度が密接に関連し合っているのに対し、知的障害児においては、特に、変容の程度-理想の願望度で正の相関の傾向が示された。さらに、発達が進むにつれ、知的障害児の場合、『社会性』のもつ意味がより重要になってくることが示唆された。