著者
小沢 顕 鈴木 健 谷畑 勇夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.90-100, 2002-02-05
被引用文献数
1

相互作用断面積は,原子核の陽子数あるいは中性子数が反応で変化する過程に対する断面積であり,原子核の大きさに敏感な量である.相互作用断面積の測定は,不安定核ビーム(RIビーム)を用いた最初の実験として1980年代に行われ,以来,系統的な測定が行われている.相互作用断面積は比較的弱いビームでも測定が可能であり,近年のRIビーム生成分離技術の発展に伴い,酸素までの軽い原子核では,その測定は原子核の存在限界であるドリップ線に到達した.グラウバー模型により,相互作用断面積から平均自乗根核半径,核子密度分布が導出でき,さらには,最近の模型の発展により不安定核の殻構造に関する情報すら得られるようになった.ここでは,最近の相互作用断面積の測定の発展を振り返るとともに,測定結果が明らかにした不安定核の核構造について解説する.

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