- 著者
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川上 輝昭
- 出版者
- 全国障害者問題研究会
- 雑誌
- 障害者問題研究 (ISSN:03884155)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.2, pp.154-159, 2008-08
労働能力が劣る精神や身体に障害のある者は、都道府県労働局長の許可を受けたときは最低賃金の適用が除外(最低賃金法第8条)されることになっている。その理由は、使用者の負担を軽くすることで障害者の雇用拡大を図ることができるためと説明されている。そもそも最低賃金とは、人が人として暮らしていくための最低限必要な金額であり、これを下回ることは最低生活以下の生活を余儀なくされることである。労働効率が低いために最低賃金すら保障されないという制度は、賃金の全てを使用者負担としているところに問題がある。障害者の就労に際しては賃金の一部を公的に保障していく制度が必要である。最低賃金適用除外の法律は1959年に制定されたものであり、すでに50年が経過している。障害者をめぐる国の内外の状況も大きく変化してきており、障害者がその人らしく就労を通して生きがいをもって社会参加できるよう抜本的な制度改革が必要である。