著者
佐藤 佳弘
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.19-31, 2008-03-30

生活情報化の進展は,移動電話契約数の増加,IT機器の世帯普及率の上昇,インターネットの人口普及率の上昇,ブロードバンドの契約数の増加など様々な面に現れている。しかしながら,これら契約数や普及率の上昇は,個々の側面における情報化の進展状況を示しているものであり,生活側から情報化の進展度合いを総体として表してはいない。なぜなら,生活の中の情報は,携帯電話に代表される通信メディアによってだけではなく,郵便,放送,印刷をはじめとする多様なメディア(媒体)によっても媒介されており,これらのメディアが生活の情報化を構成しているからである。本稿は,様々なメディアから構成されている生活情報化の進展度合いを家計消費支出の側面から把握することを試みている。情報メディアに対する家計支出を通信・放送・郵便・手書き・記録・PC(情報機器)・印刷の7種に分け,さらにオンライン/オフラインとパーソナル/マスから成るマトリクスを用いて分析している。その結果,1995年以降の生活の情報化は,オンラインとパーソナルに傾斜しており,その主要因は通信にあることが家計消費支出によって裏付けられた。また,生活における情報支出は,1995年を境に選択的支出に転化しているものの,高所得層の世帯においては基礎的支出の位置付けにあることが明らかになった。

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