著者
マクニール ケン
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, pp.30-44, 2006-06-17

西洋人が日本を「発見」した19世紀中期以後の二、三十年間、日本のイメージは主として美術工芸によって形成されたと言える。日本を訪ずれた西洋人が持ち帰った美術工芸品、彼らの著作物、写真などによって、1880年代から1890年代前半にわたって、美感にすぐれたこの異国の民族が生活の中にみごとに美術を融合させ、絵のように美しく、また子供の楽園でもある日本のイメージがしっかりと形成された。しかし、1890年代後半以後、日清戦争の勝利、イギリスなどとの通商条約締結、ロシアとの軋轢、中国の義和団の乱への出兵などの歴史的事件を経て、西洋は日本の近代化・西洋化を、認めざるを得なくなった。にもかかわらず、自分達が作り上げた、あこがれの不思議の国という、魅力的な日本のイメージにしがみつく傾向は依然として強かった。この偏ったイメージを打ち壊したのは日露戦争における日本の勝利であった。小論では、1900年前後のニュージーランド人による日本のイメージの形成とその変遷について、主に当時のマスメディア(新聞、雑誌)を資料として論じる。まだ近代日本のイメージが弱かった、義和団の乱直前の1899年から、「不思議の国」と「近代国家」という異なったイメージのせめぎ合いを経て、日露戦争をきっかけに西洋人が日本の台頭の秘密(西洋人にとって)を見極め、日本のイメージを修正せざるを得なくかった1905年までを検討する。

言及状況

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こんな論文どうですか? 第一次日本ブーム(100周年目の考寮) : 1899年〜1905年のニュージーランドにおける日本のイメージの変遷をたどって(マクニールケン),2006 http://id.CiNii.jp/cngbL

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