著者
サワダ ハンナ・ジョイ
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, pp.45-55, 2006-06-17

ギャビン・ビショップの絵本、『ジャックが建てた家』はニュージーランド・ポスト・チルドレンズ・ブック・アワードを2000年に受賞し、幅広い年齢層に読まれ、反響を巻き起こした。この絵本について様々な解釈が提示されてきたが、その中で際立つのは、この作品が今後のマオリとパケハの文化間の争いを予告し、二つの文化が共通のアイデンテティをもつ可能性を拒んでいると主張するクレア・ブラッドフォードの分析である。しかし、この論文はビショップ自身のバイカルチュラルな生い立ち、彼の作品にたびたび登場するハイブリディティ、そして彼の他の作品が提供するコンテクストに基づき、ブラッドフォードと相反する解釈を提案するものである。著者がビショップと2006年3月に行ったインタビューを踏まえ、この作品が文化間の争いの可能性よりも今後の平和を築くために不可欠なマオリとパケハの共通の歴史理解、そして未解決の問題の早急な決着の重要性を強調している事を示唆する。

言及状況

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こんな論文どうですか? 『ジャックが建てた家』 : 不可避な抗争の予告か、それとも平和の前提としての過去の再解釈か(サワダ ハンナ・ジョイ),2006 https://t.co/li3Pvr8atj

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