著者
市川 ゆかり 黒田 緑
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Japanese Lournal of Maternal Health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.336-346, 2008-07-01
参考文献数
23

本研究の目的は,産後1ヵ月の時点の産後うつ病を疑われる母親の割合と関連要因についての現状把握である。研究方法は産後1ヵ月の健康診査に来院した母親を対象に,日本語版エジンバラ産後うつ病自己評価票(以下,EPDS)と日本語版WHO The Subjective Well-being Inventory検査用紙(以下SUBI)を測定用具とした調査研究である。EPDS区分点となる9点以上を「産後うつ病が疑われる」群,8点以下を「正常」群とし比較検討した。その結果は以下の通りである。1.対象者は152名(有効回答率86%)で,そのうち「産後うつ病が疑われる」群は29名(19.1%)であった。2.「産後うつ病が疑われる」群は正常群に比較し,「今回の妊娠出産のための退職」「未婚」「相談相手として夫を選択していない」点で,有意な差が認められた(p<0.05)。3.「産後うつ病が疑われる」群は,母乳栄養の割合が有意に低かった(p<0.05)。4.精神的コントロールに関する褥婦の訴えは,産後うつ病の早期発見として重視すべき情報である。5.産科学的関連要因および新生児学的関連要因に有意な差はなかった。

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