著者
鳥田 宏行
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.489-495, 2006-12-01
参考文献数
26
被引用文献数
6 5

2002年台風21号による防風林の被害要因の解析を行った結果,樹種,防風林の延長方向,林齢,風上森林区画(林小班)はおもな被害要因であることが示された。十勝の防風保安林のおもな造林樹種の中で,カシワはもっとも根返りに対する抵抗性が高い樹種であり,風上区画に配置すると被害が軽減されることが示された。本事例では北北東あるいは北東方向に延長された防風保安林(南東からの卓越風にほぼ直角方向)は被害を受けやすく,被害軽減のためには優先的に風上区画にはカシワ林を造成することが有効である。カラマツ林の林分構造の比較検討からは,同材積レベルの林分では,無被害林は被害林に比べて本数密度が低く,直径が太いことが示唆された。施業履歴の検討(林齢35〜45年)からは,被害林は無被害林に比べて間伐回数が少なく,本数密度も1.8倍高いことが示された。カラマツ林の根返りに対する抵抗性を向上させるためには,林齢35〜45年に達するまでに,本数密度約400本/haを上限として2〜3回程度の間伐を実施することが有効である。

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