- 著者
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吉田 雅昭
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.2, pp.45-60, 2008-04-01
東北諸方言の基本的時間表現形式の考察を行った。過去継続相としてテアッタ・テデアッタ形が秋田市,タッタ形が青森市,テラッタ・テダッタ形が平鹿町・八戸市・盛岡市,テタッタ形が福島市方言で使用される。過去・現在継続相としてテタ形が見られるが,平鹿・八戸・盛岡ではテラ形も使用される。完成相ではタッタ形が平鹿・八戸・盛岡・福島で使用される。東根市では文末詞のケとタが共起することが多い。元々存在した過去継続相のテアッタ形が音変化によりタッタ形へ変化していった。変化当初は継続相として機能しながらも,継続相表示の「テ」の消失のため,やがて完成相(タの連続)として意識される。そして完成相と継続相の2項対立を実現させるためにテタッタ形を生じる,というプロセスを主張した。時間表現を通して,安定した体系を成立させるために言語変化が生じていく様を,各方言を対照させ論じた。