著者
柴本 枝美
出版者
大阪健康福祉短期大学
雑誌
創発 : 大阪健康福祉短期大学紀要 (ISSN:13481576)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.35-51, 2008-03

山本宣治(1889-1929)は、1920年代に同志社大学予科において「人生生物学」と名づけた性教育を実践していた人物である。山本の性教育論で、科学的知識とは、性生活調査に基づいて一般の人々における現状の性生活を知ることから確立されるものであった。すなわち、山本の性教育論にとって性生活調査は、性教育における知識内容の種類と質を吟味する役割を果たすものであった。したがって、山本の性教育論において性生活調査は必要不可欠な要素であるということが明らかになった。そのうえで、山本は再構築された科学を一般の人々に還元しなければならないと考えていた。その方法の一つが、「人生生物学」講義であった。このように、山本が従兄弟の安田徳太郎(1898-1983)とともに実施した性生活調査は、「人生生物学」講義の受講生の反応を見るために始めたアンケートがきっかけとなって始められ、そして、その調査から得た結果を「人生生物学」講義を通じて、学生に還元していたといえるだろう。このように、性生活調査と「人生生物学」講義に始まる山本の性教育実践とは、双方向的に関わりあっていたことがわかった。

言及状況

Twitter (2 users, 2 posts, 0 favorites)

こちらの1924年の山本による調査では性交経験者は、19歳で50%を超え26歳で100%に達している。 先の「20代の4割」は2013年のサガミの調査らしい。 1924年に比して20代の童貞が4割に「増えた」という事は言えそうである。 https://t.co/Q78jOl87Rl
CiNii 論文 -  山本宣治の性教育論における性生活調査の位置づけと役割 https://t.co/GV3afDNELr #CiNii

収集済み URL リスト