著者
赤嶺 光
出版者
日本草地学会
雑誌
日草誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.286-290, 2008
参考文献数
12

暖地型牧草による自給飼料生産基盤の特性。沖縄の各島々は隆起サンゴ礁によって形成され、海岸線は特色のある海浜植生でおおわれている。サンゴ礁は、熱帯性の海洋環境で形成されるものであり、わが国では琉球列島にのみ見られる。ここに発達した植生は、熱帯に類似性を示し、マングローブ植生と共に熱帯海浜植生の北限に当たるもので最も沖縄らしい植生といわれている。隆起サンゴ礁上の海岸植生をみると、海水のしぶきを浴びるようなところに群生するイソフザギ群落、それに続いてコウライシバ群落やイソマツ・モクビャッコウ群落がある。さらに内陸には、ミズガンピ群落、クサトベラ・モンパノキ群集となりアダン群集へと続く。このような礁原に見られる植生が、亜熱帯沖縄を特徴付ける景観を形成している。海岸の隆起サンゴ礁の風化が進んだ平坦地には、コウライシバが、風衝性の植物群落として発達したのを見ることができる。沖縄本島恩納村万座毛や国頭村辺戸岬、久米島北海岸、宮古島東平安名崎、石垣島御神崎などである。また、沖縄本島より南西へ約500 kmに位置する与那国島には、このようなコウライシバ群落を利用した放牧が行われている。そのため、コウライシバを優占草種とする広いシバ型草地が出現し、放牧家畜の存在と相まって与那国島独自の景観を呈している。

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