著者
雨宮 徹
出版者
大阪河崎リハビリテーション大学
雑誌
大阪河崎リハビリテーション大学紀要 (ISSN:1881509X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-37, 2008

拙論の目的は、恋と愛を質的に異なる現象として扱い、両者における自己-他者関係の相違を明確にすることにある。まず、恋においては、自己の欲望を余すところなく満たすために他者から離れようとする方向性と、自己が他者に受容されるために他者に接近しようとする方向性の二つが、互いに鋭く矛盾したまま、並存していることが確認される。この矛盾を解決するために、恋する人間はさまざまな戦略をとるが、それらはすべて破綻するということが明らかにされる。次にフランクルの「コペルニクス的転回」の概念を手掛かりとし、恋における自己の特徴は、自己中心性にあるのだと位置づけられるのに対して、愛の特徴は、自己超越性にあるのだということが、「Bei-sein」にまで遡って説明される。その結果、愛において他者は、主客が分裂する以前の、自己における他者の端的な顕現への驚きを通じて、その存在の独自性を看取されるのだ、ということが示される。

言及状況

Twitter (1 users, 2 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 恋と愛 : フランクルの「コペルニクス的転回」を手がかりとして(雨宮 徹),2008 https://t.co/iGTYZ54jc1
こんな論文どうですか? 恋と愛 : フランクルの「コペルニクス的転回」を手がかりとして(雨宮 徹),2008 https://t.co/iGTYZ54jc1

収集済み URL リスト