著者
池内 慈朗
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.37-48, 2008-03-27

本論考では,ハーバード・プロジェクト・ゼロの傘下でエレン・ウイナーらが指揮した研究チームがプロジェクトREAPで,美術や音楽などの芸術が,主要教科の成績を向上させるのに役立つという主張には証拠があるのか否かという問題について系統的に検証したものである。REAPでは,芸術の有益性を示した過去の研究をメタ分析という手法で大規模な分析をしている。本論考では,美術と他教科の関係性について,(1)美術の学習は他教科の成績を上げられるのか(2)英語と美術の成績の関係(3)美術の学習は創造性を生みだすか,また,音楽,ダンスなどの研究の分析結果についての研究結果をもとに考察した。REAPの分析結果および,REAPシンポジウムなどの資料,ウイナーによる一連の発言をもとに,米国において繰り広げられた美術教育の正当性についての議論について再考した。さらに,プロジェクト・ゼロの研究成果である「学習の転移」といった認知心理学的視点などをもとに美術教育の正当化に関する考察を行なったものである。

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