著者
水野 千奈津 山本 栄
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.549-555, 2009-01
被引用文献数
1 1

妊娠に伴う身体の変化は,身体の保持をすることが難しいことが知られている。本研究は,妊婦の歩行時における特有な姿勢調節のメカニズムを明らかにする。そこで,妊婦体験ジャケットを着用した被験者に3次元運動分析装置を用いて妊婦の歩行を調べた。つまづきに関係するToe Clearance(以下,TC:床面〜つま先間距離)に着目し,履物のヒール高の違いとTCについて検討した。本実験では妊婦体験ジャケットを健康な日本人女性である被験者15名(20±1.1歳)に着用することで,妊娠後期と想定し実験を行った。妊婦体験ジャケットの着用時では,全被験者においてTCが小さくなり,さらに,ヒールが高いほどTCが小さくなった。歩幅においても同様に狭くなった。頭部の上下の揺れは,着用時ではヒール高を問わず3.0cm台でほぼ安定していた。しかしながら,非着用時にはTCおよび歩幅の減少とともに頭部の上下の揺れも減少していた。結果より妊婦は歩行をする時,床面からあまり脚を挙げず,歩幅を小さくすることによって,歩行時の安定を作り出していることがわかった。

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