著者
川西 武夫
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.872-890, 1932

ぐるくろん酸ガ化學上葡萄糖ノ酸化物ナルハ既ニ多數ノ學者ニヨリテ定メラレ,生體内ニ於テモソノ成生ハ葡萄糖ヨリ來ルト一般ニ假定セラル.サレドぐるくろん酸ガ葡萄糖以外ノ物質ヨリ成生セラルヤ否ヤニ付テハ未ダ解決セラレズ.サキニ私ハ家兎ノ飢餓實驗ニ際シぐるくろん酸ガ葡萄糖ノミヲ唯一ノ源泉トセズ,直接又ハ間接ニ蛋白ヲモ母體トスル事實ヲ確證セリ.今コノ事實ヲ更ニ追及センガタメふろりぢん糖尿犬ニ付テ實驗シ次ノ成績ヲ得タリ.1)飢餓犬ニふろりちん及ビあどれなりんヲ注射シテ肝臟並ビニ筋肉ニ於ケルぐりこげん量ヲ最少限度ニ消耗セシメタル後,かんふるヲ注射スルニ尚尿中かんふをぐるくろん酸ノ排泄セラル丶ヲミタリ.即チかんふるト結合スベキぐるくろん酸ハ葡萄糖又ハぐりこげんノミナラズ,他ノ體物質(蛋白及ビ脂肪)ヲモ母體トスルヤ明ナリ.2)犬ヲ3-4日間飢餓セシメ毎日ふろりぢんヲ注射スルモ尚夥シキぐりこげん量ヲ動物體内ニ保有ス.何トナレバ該動物ニあどれなりんヲ注射セバ尿中多量ノExtrazuckerヲ排泄スレバナリ.サレドカクノ如ク處置シテ該動物ハ肝臟及ビ筋肉ニ於ケル最後ノ糖源貯蓄ヲ固渇シ,更ラニ第2ノあどれなりん注射ハ最早Extrazuckerノ排泄ヲ起サザルニ至ルヲミタリ.3)正常犬ガかんふる注射後排泄セシ尿ニ酵母ヲ加ヘテ醗酵セシメ糖ノ消失シタル後,かんふおぐるくろん酸ハ旋光法又ハ還元法ニヨリテ定量セラル.サレド酵母ノ作用時間長キニ亘レバ短キモノト比シ光學檢査ニヨル左旋度ハ却ツテ増加シ,鹽酸ヲ以テ加水分解セル後ノ還元力ノ増加ハ益々減少スルガ如シ.4)ふろりぢん糖尿犬ノ尿ヲ酵母ニヨリ醗酵セシ後ニ多少トモ左旋度ヲ示ス.該左旋度ハふろりぢんト同時ニかんふるヲ注射シテ排泄シタル尿ヲ酵母ニヨリ同樣ニ操作セシモノヨリ遙カニ弱シ.サレド何レノ場合ニ於テモ鹽酸ヲ以テ加水分解セル後ノ還元力ハ加水分解前ト比シ増加セズ.サレバふろりぢん糖尿犬ノ尿中ニ存スルかんふおぐるくろん酸ノ實在ハ,醗酵試驗ニヨルモ不可能ニシテ,鉛錯及ビあんもにあくニヨリ沈澱セシメ還元法ヲ應用シテ初メテ證明スルヲ得タリ.5)犬ヲ飢餓トふろりぢん及ビあどれなりんヲ以テ處置シ肝臟並ビニ筋肉ニ於ケルぐりこげん量ヲ最小限度ニ消耗セシメタル後,尚飢餓ノミ6日間繼續セシメふろりぢん糖尿ノ止ムニ至リテかんふるヲ注射スルニ尿中排泄セラル丶かんふおぐるくろん酸ノ量ハ該動物ガ普通食ニ際シテ同量かんふるノ注射ニヨリ形成セシかんふおぐるくろん酸ノ量ト殆ンド同量ナリ.即チ飢餓犬ニ於テかんふるト結合スベキぐるくろん酸ハ直接又ハ間接ニ蛋白或ハ脂肪ヨリ發生スルヲ知レリ.

言及状況

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こんな論文どうですか? 生體内ニ於ケルぐるくろん酸ノ由來ニ就テノ知見補遺,1932 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007106891
こんな論文どうですか? 生體内ニ於ケルぐるくろん酸ノ由來ニ就テノ知見補遺,1932 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007106891

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